会社設立した夫のもとに届いた掛金停止通知。iDeCoはどうなる?
配信日: 2018.05.21 更新日: 2019.01.10
ご主人の確定拠出年金はサラリーマン時代には企業型、個人事業主時代には個人型iDeCoを満額68,000円拠出で加入しています。
ほかには小規模企業共済にも加入しています。また、奥さまはご主人の仕事が安定するまで派遣として働くとのことで、確定拠出年金はiDeCoに加入しています。
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Text:野原亮(のはら りょう)
確定拠出年金相談ねっと認定FP
確定拠出年金創造機構代表
https://wiselife.biz/fp/rnohara/
現東証1部上場の証券会社に入社後、個人営業・株式ディーラーとして従事。口座残高が当初20万円のお客様が2,000万円になったことも。その後、営業マーケティング会社に転職。生涯担当顧客は1,000名超。 2016年に確定拠出年金専門のファイナンシャルプランナーとして開業。法人への企業型確定拠出年金制度の導入を中心に、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)制度の普及にも努めている。生活に密着したお金の話は「人生有限、貯蓄無限」と考え、公的年金や資産運用のアドバイスも。2017年、DVD「一人社長・夫婦経営の社長のための確定拠出年金」を出版
https://www.amazon.co.jp/dp/B073JFYMQV
なぜ突然iDeCoの掛金が停止されてしまったの?
iDeCoは60歳未満であれば、原則として加入できる時代となりました。会社経営者であるご主人の場合「企業年金のない会社」となり、iDeCoへの加入は23,000円が上限です。
※国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト(iDeCoの加入資格等)より
※国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト(掛金の上限)より
奥さまもご主人のiDeCoは、68,000円から23,000円になると思っていたようですが、そこへ掛金停止のお知らせが届いたので、会社を設立したことによりiDeCoが継続できなくなってしまったのかと不安になったのです。
実はiDeCoは公的年金の補完という役割のもと、年金被保険者種別ごとに掛金上限額が異なり、種別が変わればその手続きをしなければならないのです。
ご主人が個人事業主の時は、被保険者種別は「第1号」、厚生年金加入者になった今は「第2号」ですから、下記の手続きが必要となります。
・加入者被保険者種別変更届(iDeCoの「被保険者種別」を1号から2号へ変更する手続き)
・事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書(事業所登録、第2号加入者であることの事業主証明)
※国民年金基金連合会 iDeCo公式サイトより
本来なら、厚生年金加入と同時に国民年金基金連合会に(窓口は運営管理機関)届け出すればよかったのですが、なかなかそこまでのルールを知らない人がほとんどですから、結果的にこのお知らせが届いたということになります。
会社を設立し厚生年金適用事業所となっても、手続きさえすればiDeCoの掛金拠出は継続できるわけです。厚生年金適用事業所の申請を出した時点で、窓口の運営管理機関へは手続きのお問い合わせや資料請求をしておきましょう。
ところが、ご主人も奥さまも、23,000円という掛金額に対して不満がでてきたわけです。
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23,000円より掛金を増やす方法はあるの?
ご主人としては、今は1人社長ですがいずれは奥さまを役員として迎えたいという思いがあります。また老後保障という面で、やはりサラリーマン時代に比べると大きな不安もあります。
稼げているうちに、早くお金を貯めておきたいというのは当然でしょう。そんな時には、企業型確定拠出年金という制度もあります。企業型と個人型iDeCoは兄弟のように似ていますが、異なる制度です。
企業型は大企業で加入できる制度、iDeCoは中小企業で加入できる制度と思っている人もいるかもしれませんが、実は一人社長でも加入できるのです。
年間の拠出可能額はiDeCoだと上限276,000円(月額23,000円)に対し、企業型は上限660,000円(月額55,000円)と2倍以上の拠出が可能です。しかも全額損金で落とせるため、コスト削減効果が高まります。
さらにiDeCoの加入可能期間は60歳までですが、企業型は65歳まで加入可能です。
また社長の退任が、必ずしも確定拠出年金の受取りと同時ではなくても良いのです。ただ、導入開始までに最短でも数カ月~半年はかかるため、それまではiDeCoで我慢していただくことになります。
税金や社会保険料のコスト削減や個人資産の増加は、経営者としても大きな関心事かと思います。iDeCo公式サイトによれば、2018年2月時点のiDeCo加入者は81万人を超え、2017年12月と比べると約10%の加入者増となっています。
今回のようなケースはこれからもごく普通に起こりうることです。一人社長であれば、売上にはある程度限界がでてくると思いますので、多方面から早めに考えてみてもらいたいですね。
Text:野原 亮(のはら りょう)
確定拠出年金相談ねっと認定FP、確定拠出年金創造機構代表