更新日: 2022.12.13 その他年金

年金の支給額は平均「14万6145円」! でも手取りだといくらになるの? 手取り金額や引かれる税金を確認

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

年金の支給額は平均「14万6145円」! でも手取りだといくらになるの? 手取り金額や引かれる税金を確認
厚生労働省が発表した令和2年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金の支給額の平均は14万6145円です。この金額を一つの目安として老後の資金計画を立てている人もいるのではないでしょうか。しかし、その際押さえておくべきことは、年金は必ずしも額面の全額を受け取れるわけではないということです。
 
そこで今回は、年金の受給額が14万6145円だった場合に手取りはいくらになるのか、詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

受給額から引かれるのは所得税、住民税、社会保険料

まず理解しておくべきことは、年金も所得であるということです。所得の項目としては雑所得になります。そのため、年金を受給した場合にはその金額に応じて所得税や住民税、社会保険料を納めなければなりません。そして実際に支給される際には、これらの金額を天引きした額が振り込まれます。
 
まず所得税に関しては、基礎控除と公的年金控除を見てみましょう。収入によって変わってきますが、基礎控除額は48万円。
 
公的年金控除額は65歳未満で公的年金等の収入金額の合計額が60万1円から129万9999円までの場合は60万円、65歳以上で公的年金等の収入金額の合計額が110万1円から329万9999円までの場合は110万円。両方を合わせると60歳から65歳までの人は108万円、65歳以上の人は158万円となります。
 
そのため、60歳から65歳までの人は受給額が年間で108万円以下、65歳以上の人は受給額が年間で158万円以下であれば、年金を受給しても所得税を納める必要はありません。所得税の非課税対象者ではない場合、公的年金の源泉徴収の対象となる人へ日本年金機構から「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」が送付されます。
 
この申告書を提出することで、さらに配偶者控除や扶養控除などを受けることができます。公的年金の所得税は、支給された年金額から控除額と社会保険料を引いた額に所得税率5%と復興特別所得税0.105%(所得税率は支給額により異なります)を掛けた金額です。
 
次に、住民税と社会保険料ですが、これらは、住んでいる地域や受給額によって金額がいくらになるかは異なります。例えば東京都江戸川区の場合、65歳以上で年金額が330万円未満、年金以外の所得の合計額が1000万円以下の人は、公的年金等控除額が110万円になります。
 
65歳以上で年金額が330万円以上410万円未満、年金以外の所得の合計額が1000万円以下の人は、所得金額は「年金受給額×25%+27.5万円」です。この金額からさまざまな控除を差し引き、それに都民税4%と区市町民税6%を掛けた額が住民税の所得割です。均等割りは5000円です。
 

受給額が14万6145円なら手取りはいくらになる?

それでは、年金の受給額が月額14万6145円(年間で175万3740円)だった場合に手取りはいくらになるのか、実際に計算してみましょう。年齢は70歳で独身、東京都江戸川区在住、基礎控除と公的年金控除以外の控除はないものとします。
 
まず社会保険料を計算しましょう。東京都江戸川区の場合、65歳から74歳の人は医療分保険料と後期高齢者支援金分保険料を納めなければなりません。医療分保険料は所得割として所得金額の7.95%、均等割として4万3200円×加入人数です。
 
後期高齢者支援金分保険料は所得割が所得金額の2.63%、均等割が1万4400円です。なお、合計所得金額が2400万円以下の場合は基礎控除として43万円が所得額から差し引かれます。これらを踏まえて計算すると「(175万3740円-43万円)×(7.95%+2.63%)+4万3200円+1万4400円」なので、社会保険料は19万7651円になります。
 
次に、住民税と所得税を計算しましょう。先述したように住民税は70歳で年金収入が175万3740円であれば公的年金等控除額は110万円となるため、課税所得金額は65万3740円。その金額に都民税4%と区市町民税6%を掛けた6万5374円が所得割、5000円が均等割となります。
 
所得税額は175万3740円から基礎控除の158万円を引くと17万3740円です。そこからさらに社会保険料19万7651円を引くと所得金額は0円になるため、所得税はかかりません。
 
これらの計算結果から、「175万3740円-19万7651円-7万374円」の148万5715円(月額12万3809円)がおおよその手取り金額となります。
 

実際に受け取れる金額はおよそ8~9割程度

計算した結果、都内在住で独身の場合、年金受給額が平均額である14万6145円の人でも実際に受け取る金額はそのおよそ8割程度になることが分かりました。今回計算に含めた以外にもさまざまな控除があることを踏まえると、多くの人が8~9割程度になるものと思われます。老後の資金計画を立てている人は、実際には年金は1~2割程度が天引きされて支給されると考えておきましょう。
 
※ 2022/12/13 記事を一部、修正いたしました。
 

出典

厚生労働省 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
国税庁 高齢者と税(年金と税)
日本年金機構 年金から天引きされる介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税の金額はどのようにして決まるのですか。
東京都主税局 個人住民税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
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