年金を「60歳」でもらえるなら「65歳よりお得」じゃないんですか? 「繰上げ受給」の注意点を確認
配信日: 2022.12.25 更新日: 2022.12.26
本記事では、繰上げ受給をした場合に、具体的にどれくらい年金額が減少するのかをみた上で、繰上げ受給についての注意点について解説しています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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繰上げ受給でどれくらい年金額が減るのか
現在、昭和37年4月2日以降生まれの人は、1ヶ月繰り上げるごとに年金受給額は0.4%減額されます。1年繰り上げると、0.4%×12ヶ月=4.8%が減額率です。
仮に60歳ちょうどから年金を受給し始めるとすると、0.4%×12ヶ月×5年=24%が減額率となります。昭和37年4月1日以前生まれの人は、減額率が0.5%のため60歳ちょうどから受け取ると、年金受給額は30%減額されます。老齢基礎年金は2022年4月から、満額で年間約77万8000円となっていますので、昭和37年4月2日以降生まれの人をモデルに計算してみましょう。
77万8000円は65歳から受給する場合ですので、減額率30%の60歳ちょうどから受給した場合、約77万8000円×70.0%=約54万4600円となります。4.8%の64歳ちょうどの場合、約77万8000円×95.2%=約74万656円です。特に60歳になってすぐに受給すると、かなり減ってしまうことが分かります。
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繰上げ受給の注意点
毎月の受給額が減ってしまう繰上げ受給ですが、他にも注意すべき点があります。主なものを一つずつみていきましょう。
一生減額した年金額となる
一度繰上げ受給を選択したら、途中で取り消すことはできません。年金額は減額されたもので確定され、それが一生続きます。たとえ初めのうちは貯蓄があり、不足分を補えていたとしても、長生きすれば貯蓄はどんどん減っていきます。貯蓄が枯渇してから後悔しても年金額は変えることはできません。
老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方が繰上げとなる
「繰下げ受給」は老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に受給するという選択もできるのですが、繰上げ受給の場合はセットです。どちらか一方だけを繰り上げることはできず、両方とも繰り上げ、減額となります。
国民年金の任意加入・追納ができない
60歳までに国民年金の保険料を払いきっていない場合、60歳以降でも国民年金への任意加入、未納分の追納により、年金額を増やせる仕組みがあります。しかし、繰上げ受給をした場合には、以降の任意加入や追納をすることはできません。
雇用保険の給付と調整がある
60代前半では、雇用保険からの給付と年金の両方を受け取ることはできません。雇用保険から失業給付や高年齢雇用継続給付を受けている場合、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります。
繰上げ受給をする場合、長期的な資金計画を考えよう
健康的な理由や不確実な時代などの理由から、「もらえるものは早めにもらいたい」という考え方も少なくないかもしれません。しかし、繰上げ受給は一生減額した年金となり、また今回解説した以外にも厚生年金保険の長期加入者や障害者の特例措置を受けられなくなるというデメリットもあります。繰上げ受給をする場合には、リスクも視野に入れつつ、長期的な資金計画を考えましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部