年金と雇用保険は同時に受け取れる? 併給可能なケースとNGなケースは?
配信日: 2023.01.20
そこで本記事では、雇用保険の仕組みや雇用保険と老齢年金の併給について、詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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雇用保険とは
「雇用保険」とは、労働者の安定雇用と雇用の促進を目的とした国の制度です。失業した際に労働者は約3ヶ月間~1年間の範囲で失業給付を受けられる(離職理由や雇用保険の加入期間によって給付日数や給付額は異なる)など、経済的な心配をすることなく再就職の準備ができます。
加入基準や保険料率は、雇用保険法で定められています。以下の加入基準を満たしている場合、本人の意思は関係なく強制的に雇用保険へ加入しなければいけません。
●31日以上の継続雇用が見込まれる
●1週間の所定労働時間が20時間以上である
加入基準は、正社員だけでなく、パート・アルバイト、派遣社員など、どの雇用形態にも共通します。
雇用保険の保険料は勤務先と被保険者である労働者それぞれが負担し、毎月の給与から控除して徴収される仕組みです。被保険者が負担する雇用保険料は、毎月の給与や賞与に雇用保険料率を乗じて計算します。
令和4年度の雇用保険料率(令和4年10月1日~)は、図表1のとおりです。
【図表1】
事業の種類 | 雇用保険料率 | 労働者負担 | 事業主負担 |
---|---|---|---|
一般の事業 | 13.5/1000 | 5/1000 | 8.5/1000 |
農林水産業 清酒製造業 |
15.5/1000 | 6/1000 | 9.5/1000 |
建設業 | 16.5/1000 | 6/1000 | 10.5/1000 |
出典:厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内
雇用保険を受け取ると年金はもらえない
失業保険と老齢年金のそれぞれの受給権があったとしても、実際に受給できるのはいずれか一つです。年金受給者が雇用保険を受け取る場合、老齢年金は全額支給停止となりますので注意してください。
老齢年金が支給停止となるのは、ハローワークに求職の申し込みをした日の翌月からです。 支給停止となった年金は、雇用保険の受給期間が終了した翌月から権利が復活します。雇用保険と老齢年金の金額を比較してみて、どちらが多いかを確認してから判断するとよいでしょう。
高齢者雇用継続給付を受けると年金の一部が支給停止
「高年齢雇用継続給付」と老齢年金の同時受け取りは可能です。しかし、高年齢雇用継続給付の約40%相当の老齢年金が支給停止となりますので注意してください。
高年齢雇用継続給付は、65歳までの雇用継続や援助、促進を目的にした雇用保険制度の給付金です。60歳以上65歳未満で雇用保険の被保険者期間が5年以上ある人を対象にした制度で、60歳以後も継続して働き、60歳時の給料と比べて75%未満になった際に65歳までもらえます。
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年金と雇用保険を併給する方法
老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに原則65歳から受け取りが可能です。雇用保険と老齢年金を併給する場合、65歳の誕生日前に退職し、65歳に到達した後にハローワークへ求職の申し込みをするしかありません。65歳以降は年金の減額や支給停止といった調整がありませんので、退職後に失業給付を受けられます。
ただし、自己都合扱いの退職になると3ヶ月の支給制限を受ける可能性が高いです。退職理由に注意したうえで手続きを進めてください。
高年齢求職者給付金は老齢年金と併給可能
65歳以上を対象にした「高年齢求職者給付金」であれば、老齢年金との併給が可能です。支給要件は以下のとおりで、雇用保険の被保険者期間が1年未満なら30日分、1年以上なら50日分の基本手当が支給されます。
●離職の日以前1年間に、通算6ヶ月以上の雇用保険被保険者期間があった
●ハローワークで求職の申し込みを行い就職の意思がある、就職する能力があるにも関わらず、就職先が見つからないなど、失業状態にある
雇用保険と年金の併給を理解して正しく生活設計しよう
雇用保険を受け取るためには失業状態であることが前提です。労働の意思や能力があるにもかかわらず職に就けない人という加入要件があるため、働く意思がない場合は雇用保険を受け取れません。
雇用保険と老齢年金を受け取れるタイミングや受給条件を把握していない場合、老後の資金計画に影響を及ぼす可能性が高いです。雇用保険と老齢年金のそれぞれを受け取って生活費に充当しようと考えている人は、資金確保の方法を再検討してください。
出典
厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内
日本年金機構 年金と雇用保険の失業給付との調整
厚生労働省 雇用保険と年金の併給調整について
厚生労働省 離職されたみなさまへ <高年齢求職者給付金のご案内>
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部