更新日: 2023.01.30 国民年金
「国民年金保険料追納のご案内」が届いた! 大学時代の2年分を追納したら、将来いくら受け取れるの?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
学生納付特例制度とは
国民年金には学生納付特例という制度があります。学生納付特例は、前年の所得が一定額以下の学生について、在学中は国民年金保険料の納付が猶予されるという制度です。
この制度によって保険料の納付猶予を受けている学生の方や、大学時代など過去に猶予されていた方も多いでしょう。ただし、猶予を受けていた期間は年金の受給資格期間に含まれますが、将来受け取る年金額には反映されません。
国民年金の加入期間となる480ヶ月(40年)で全期間の保険料を納付した場合、老齢基礎年金の支給額が満額となり、原則65歳から年間77万7792円(令和4年度の支給額)を受け取ることができます。しかし、保険料の納付猶予を受けていた期間があると、その期間に応じて将来受け取れる老齢基礎年金が少なくなります。
なお、国民年金は日本に在住する20歳から60歳までの方に加入が義務付けられているため、基本的には留年をしたり、6年制の大学や大学院に進学したりした場合などでもない限り、大学時代に学生納付特例で猶予を受ける期間は2年というケースが多いでしょう。
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10年以内の追納で年金額を増やすことができる
学生納付特例の適用を受けて猶予されていた期間の国民年金保険料は、後から納付することが可能です。この制度を追納といいますが、追納した月数に応じて将来受け取る老齢基礎年金額を増やすことができます。
ただし、追納ができるのは申し出を行い、追納が承認された月の前10年以内に猶予されていた期間の保険料に限られます。
また、猶予を受けた期間の翌年度から3年度目以降に追納する場合は、本来の保険料に加えて、経過期間に応じた加算額が上乗せされることにご注意ください。
図表
出典:日本年金機構 「国民年金保険料の追納制度」
追納によって増える年金額はどれくらい?
納付猶予を受けていた2年分、または4年分の国民年金保険料を令和4年度中に追納することで、どれくらい年金額が増えるのか、猶予期間以外は保険料を全額納付している仮定で試算してみます。
2年分の保険料を追納した場合
猶予期間が2年間で、その後に追納を行わなかった場合に65歳から受け取れる老齢基礎年金は、年間73万8902円(77万7792円×456月/480月)となります。
令和4年度の満額の支給額となる年間77万7792円(令和4年度)との差は3万8890円なので、2年分の保険料を追納することで老齢基礎年金を年間4万円近く増やせます。
追納する際の保険料額は、例えば猶予を受けていたのが平成24年度(18万2640円)と平成25年度(18万2280円)の2年間の場合は合計36万4920円となり、年金を10年ほど受け取れば元が取れる計算です。
4年分の保険料を追納した場合
猶予期間が4年間で、追納をしなかった場合の老齢基礎年金は年間70万13円(77万7792円×432月/480月)となり、満額との差は7万7779円です。4年分の保険料の追納によって将来受け取れる老齢基礎年金は、年間で7万8000円ほど増えることになります。
追納する保険料額は、平成24年度(18万2640円)、平成25年度(18万2280円)、平成26年度(18万4080円)、平成27年度(18万8040円)の4年分の場合は合計73万7040円で、2年分の追納と同じく10年ほど年金を受け取れば元が取れる計算です。
大学時代に納付を猶予されていた保険料は追納すべきか
大学時代、学生納付特例を利用して国民年金保険料の納付を2年間猶予されていた方は、その間の保険料を追納すると、将来受け取れる老齢基礎年金が年間で4万円ほど増加します。また、納付の猶予期間が4年間の場合では、追納により年間で7万8000円ほど老齢基礎年金を増やせますが、保険料の追納は強制ではなく任意となります。
猶予を受けていた期間の国民年金保険料について追納の案内が届いたときは、追納しない場合に受け取れる年金額と追納によって増える金額のほか、追納に必要な保険料額、10年以内という期限を確認し、無理のない範囲で追納を検討してみてください。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:柘植輝
行政書士