更新日: 2023.03.13 その他年金

「国民年金」と「厚生年金」は別々に受け取るべき? 夫婦2人の老後をもとに検証

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「国民年金」と「厚生年金」は別々に受け取るべき? 夫婦2人の老後をもとに検証
公的年金は基本的には65歳以降、生きている限り受け取れます。しかし、年金は60歳から75歳までの間であれば好きなタイミングで受け取ることができ、しかも国民年金と厚生年金を66歳以降に繰り下げて受給する際には、別々のタイミングで受給できます。
 
自由度が高い分、どういった考え方で繰り下げを検討すべきか迷う人も多いのではないでしょうか。本記事では、どういうときに国民年金と厚生年金のどちらをどれくらい繰り下げれば良いのかについて解説しています。
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繰上げ受給と繰下げ受給とは

年金を65歳より前に受け取り始めることを「繰上げ受給」、後にすることを「繰下げ受給」と言います。繰上げ受給をすると年金を早めに受け取り始められますが、1ヶ月早めるたびに支給額が「0.4%減額」され、繰下げ受給では1ヶ月遅らせるたびに「支給額が0.7%増額」となる仕組みです。
 
会社員の場合、国民年金と厚生年金を受け取れますが、繰下げ受給の場合は別々に受け取り始められます。ただし、繰上げ受給の場合は同時に受け取り始める必要がある点は注意しておきましょう。
 

夫婦の場合は年金をバラバラに考えて検討しよう

人は何歳まで生きるか分かりませんので、年金をもらわなくても生活に困らないなら、できるだけ年金を受け取る時期を繰り下げた方が、年金をもらい始めた時点ではより多くの金額を受け取れます。
 
とはいえ、65歳以降も働いたり貯蓄を取り崩したりしながら年金を受け取り始めるまで対応できる人がいる一方、仕事のめどがたたない、貯蓄が足りなくて生活費が心もとないという人もいるでしょう。
 
そのような場合は、生活費がどの程度足りないのかによって、戦略が異なってきます。もしも会社員の夫と専業主婦の妻の場合であれば、夫の老齢基礎年金と老齢厚生年金、妻の老齢基礎年金の4つをバラバラに考え、それぞれの受給金額を計算しながら、受給開始年齢を細かく検討することが大切です。
 

生活費が5万円程度足りない場合は夫の老齢基礎年金を繰り下げることを検討

生活費が毎月5万円程度足りなくなるが、貯蓄を切り崩すと万一の際の備えが少なくなってしまうという場合を考えてみましょう。
 
結論として、この場合は夫の老齢基礎年金は繰り下げずに65歳から受給を開始し、他は繰り下げることを検討してみてはいかがでしょうか。
 
標準的な夫婦(夫が会社員として平均的な収入で妻が専業主婦)の場合、年金は全額受け取ると22万4482円月額で受給できます。このうち、夫の老齢基礎年金部分の6万6250円だけを受け取るということです。
 
そうすることで、当面の生活費を夫の老齢基礎年金で補いつつ、他の部分は繰り下げることで将来の年金額を増やすことができます。
 

生活費が10~15万円程度足りない場合は夫と妻の年齢差を考える

毎月の生活費が10~15万円程度足りない場合は、夫と妻との年齢差も考慮して作戦を考えましょう。もしも年齢差が5歳以上あるなら、夫の老齢厚生年金だけを受給し、老齢基礎年金は繰り下げることを検討すべきです。
 
こうすることで、妻が65歳になるまでの5年間は毎年38万8900円の加給年金を受け取ることが可能です。もしも厚生年金の繰り下げ受給を利用すると、その待機期間中は加給年金は受給できず、また加給年金は繰り下げても増額はされません。
 

繰り上げが選択肢になる場合もある

ここまで紹介したような戦略を実施しても、生活費が足りないケースもあるでしょう。その場合には、全ての年金を繰り下げずに65歳から受給を開始する、もしくは繰上げ受給を検討することも手段の一つです。
 
60歳前半でまだまだ元気なうちに少しでも多くのお金を手にして人生を楽しみたいという人ももちろんいるでしょう。そういった人にとっては、例えば60歳に繰り上げて年金を受給しながら仕事も続けるということも十分現実的で有効な選択肢となるかもしれません。
 

まとめ

年金戦略はいろいろな考え方があるので万人に共通する正解はありません。とはいえ、一般的には今回説明したように、今の生活を無理ないものにしつつ、将来の不安を可能な限り取り除く選択肢を模索したいところです。自分の貯蓄や老後の収入、夫婦の年齢差などを考えつつ、戦略を練っていきましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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