更新日: 2024.07.29 その他年金
67歳で年金を「22万円」もらっています。働くと「金額が減る」って本当ですか?
本記事では、受給開始後に働く場合、年金が減額されない目安がいくらかについて解説します。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
働きながら受給は可能
まず、年金受給の基本的な仕組みを確認しましょう。
保険料納付済期間と保険料免除期間などを併せた受給資格期間が10年以上であれば、原則65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。さらに、老齢基礎年金を受け取れる人に厚生年金の加入期間があれば、厚生年金も上乗せして受け取れます。
受給開始時期を前倒しする「繰上げ受給」の手続きをすると一定程度が減額されるかわりに、60歳から65歳までの間に年金を受給できます。また、開始時期を後ろ倒しする「繰下げ受給」の手続きをすることで、66歳から75歳までの間に増額分を含めて年金を受給することが可能となります。
65歳から年金を受給したものの、まだ働き続けたいと希望する場合もあるでしょう。もし、年金を受け取りながら働く場合、国民年金は基本的に全額受給ができます。しかし、厚生年金は収入条件を満たせば全額受給が可能であり、その条件を超えてしまうと、一部または全額の支給が停止されてしまいます。
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在職老齢年金制度とは
在職老齢年金とは、老齢厚生年金を受給している人が厚生年金保険の被保険者になっている場合、老齢厚生年金の「基本月額」と「総報酬月額相当額」に応じて、一部または全額が支給停止となる仕組みです。
基本月額とは、加給年金額を除いた老齢厚生年金月額のことです。また、総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額にその月以前1年間の標準賞与額の合計額を加えて12で割った金額となります。
在職老齢年金制度では、老齢厚生年金の年金月額と給与などの合計額が月額47万円以下であれば全額支給されます。しかし、47万円を超える場合、基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2で計算した金額が受け取れます。
67歳で年金22万円の場合いくらから支給停止になるか
67歳で年金を月22万円受け取っている例で考えてみましょう。
老齢基礎年金が月額6万円、老齢厚生年金が16万円の場合、給与や賞与をどのくらい受け取ると支給停止になるか計算してみます。
全額支給される場合
以下は月額給与が18万円、年間賞与が36万円の場合です。
老齢厚生年金の基本月額:16万円
総報酬月額相当額:月額給与18万円+36万円÷12ヶ月=21万円
基本月額16万円+総報酬月額相当額21万円=37万円
老齢厚生年金16万円+総報酬月額相当額21万円+老齢基礎年金月額6万円=43万円
合計が47万円以下となるため、老齢厚生年金を満額受給できます(実際の受給額は状況によって異なります)。
一部支給される場合
次に、月額給与が36万円、年間賞与が72万円の場合で計算してみましょう。
老齢厚生年金の基本月額:16万円
総報酬月額相当額:月額給与36万円+72万円÷12ヶ月=42万円
基本月額16万円+総報酬月額相当額42万円=58万円
16万円-(16万円+42万円-47万円)÷2=10万5000円
老齢厚生年金10万5000円+総報酬月額相当額42万円+老齢基礎年金6万円=58万5000円
47万円を超えるため、老齢厚生年金の一部しか受け取れなくなります(実際の受給額は状況によって異なります)。
全額支給されない場合
最後に、月額給与が75万円、年間賞与が225万円の場合で計算してみましょう。
老齢厚生年金の基本月額:16万円
総報酬月額相当額:月額給与75万円+225万円÷12ヶ月=93万7500円
16万円-(16万円+93万7500円-47万円)÷2=-15万3750円
この時点で、すでに総報酬月額相当額で47万円を超えています。老齢厚生年金の基本月額を超えるため、全額が支給停止となります。
年金をもらいながら働くためには
老齢基礎年金であれば、働いても制限されることなく受給できます。しかし、老齢厚生年金の場合、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額が47万円を超えると、一部または全額が支給停止されるため注意が必要です。
67歳で年金を受給しながら働く場合、受け取る給与や賞与の金額によって年金額が変わってしまいます。もし、老齢厚生年金を満額受給して働きたいのであれば、本記事で紹介したポイントを参考に、収入が基準を超えていないか、しっかり確認するようにしましょう。
出典
日本年金機構 老齢年金
日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士