更新日: 2019.01.11 その他年金
老後の備えが不安なら改めて確認しておきたい。年金ってなんのためにあって、どんな種類がある?
一概に年金制度といってもその内容は幅広く、そして奥の深いものですので、一度に全てを紹介することはできません。一つずつ、テーマを取り上げて紹介したいと思います。
今回は年金の意義、目的別の種類についてです。
Text:蓑田透(みのだ とおる)
ライフメイツ社会保険労務士事務所代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、
社会保険労務士、米国税理士、宅建士
早稲田大学卒業後IT業界に従事していたが、格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。
ライフプラン、年金、高齢者向け施策、海外在住日本人向け支援(国内行政手続、日本の老親のケア、帰国時サポートなど)を中心に代行・相談サービスを提供中。
企業向けコンサルティング(起業、働き方改革、コロナ緊急事態の助成金等支援)の実施。
国内外に多数実績をもつ。
・コロナ対策助成金支援サイト
・海外在住日本人向け支援サイト
・障害年金支援サイト
年金は加入した方がいいの?
まず結論から言ってしまうと、年金は日本国内居住者に課せられた義務であるため、加入し、保険料を支払わなければなりません。
ただ、義務ではありますが、大切なお金を支払う以上は自分にとってどんなメリットがあるのか理解し納得したいですよね?
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年金の意義 ~ 保険としての年金制度
一般的に年金は、「働ける現役時代に保険料を納め、老後リタイアしてから生活費として受給するもの」という考え方が広く定着しています。
国民年金保険料は国が運営する公的年金制度であり、義務であるにもかかわらず、最近は納付率が芳しくありません。
理由の一つとして、年金制度は毎月保険料を納め、老後に受給することから積立預金の様に考えている人がいるからです。
「将来の年金受給額が減額される可能性がある」=「加入すると損をする」と思いこみ、国民年金保険料を払わない人がいます。
厚生労働省によると、平成29年4月分~平成30年2月分(現年度分)の国民年金納付率は65・5%と、前述の通り義務化されているにもかかわらず3人に1人は払っていません。
(この数字には会社が自動的に給与から控除して納付する厚生年金加入者や、低所得者など納付を免除されている人は含まれていません)
しかし、年金を積立預金と同等に考えることは正しくありません。年金は年金保険と呼ばれる保険制度の一つなのです。
保険制度では、例えば生命保険や自動車保険などがそうであるように、将来発生するリスク(経済的損失)に備え加入者全体で少しずつ保険料を出しあう制度です。
では年金保険における将来発生するリスクは何かというと、老後にリタイア(退職)すること、病気やケガで働けなくなり、収入を得られなくなることなどです。
そうしたリスクに対し、保険金である老齢年金や障害年金が支給されます。
また最近取り上げられているのが「長生きリスク」と呼ばれるものです。長生きそのものはありがたいことですが、その分生活費がかかります。
しかし年金には決められた支給期間などなく、生きている限り受給することができます。寝たきりの高齢者で財産や収入がない人でも毎月の年金を受給できるということはその人にとって年金は生命線でありとてもありがたいものです。
このように、年金を単に老後の生活資金のための積立預金ということではなく、病気やケガ、長生きなどのリスクのための保険と考えれば、年金への加入は人生設計においてとても重要なことだとわかります。
※厚生労働省HP 国民年金保険料の納付率について(平成30年3月末現在)
年金の種類(目的別)
年金は保険制度ですが、リスクの種類(目的)によって主に3つに分けられます。
(1)老齢/退職年金
会社での定年退職後や仕事のリタイア後に受給する年金です。前述したように生涯受給できるので長生きしても安心です。
(2)遺族年金
年金加入者(一般的には生計の担い手で家族を養う人)が亡くなった時に生活に困らないよう遺族に支給される年金です。
(3)障害年金
病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に支給される年金です。
少し細かい話になるのですが、この他にも扶養家族(配偶者、子)がいる場合に老齢/退職年金に上乗せされる加給年金/振替加算や、一定の遺族(配偶者)に支給される寡婦年金や中高齢寡婦加算など、加入者や遺族のおかれた状況によって付加的に支給される年金があります。
いかがでしょうか?こうした年金制度を理解し利用することは将来のライフプランを考える上でとても有益なのです。
Text:蓑田透(みのだ とおる)
ライフメイツ社会保険労務士事務所代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、
社会保険労務士、米国税理士、宅建士