学生の内では納めることが難しい国民年金保険料はどうなる?(2)学生納付特例期間の老齢基礎年金への影響
配信日: 2018.07.13 更新日: 2019.01.10
学生納付特例の申請をして認められた場合、当該期間は将来受け取ることになる老齢年金についてどのような扱いになるのでしょうか。
Text:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
受給の資格期間には反映される
国民年金は、20歳から60歳までの40年間は強制加入となっています。年金制度は将来改正されることも十分予想されますが、現行制度上、将来の老齢基礎年金の受給には、まず10年以上の受給資格期間を満たさなければなりません。
学生納付特例で、保険料の納付が猶予された月は、この受給資格期間に算入されます。
しかし、学生納付特例の手続きをせず、国民年金の保険料も納めていない場合は未納期間となってしまい、受給資格期間には算入されないことになります【図表1】。
納付特例で納付が猶予された期間があれば、卒業後の期間と合わせて10年あれば受給の資格期間は満たせます。
しかし、学生時代の期間が未納期間として確定した場合は、卒業後の期間でまず10年満たさなければならないといえるでしょう。
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老齢基礎年金の額には反映されない
老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年の納付実績に応じて金額が決まることになります。
国民年金第1号被保険者として月額の保険料を納めるか、会社員等(国民年金第2号被保険者)として厚生年金保険料を負担するか、会社員等の被扶養配偶者(国民年金第3号被保険者)になるかにより、納付の期間と認められます。40年(480月)納付の期間があれば、満額(平成30年度:77万9300円)の老齢基礎年金を65歳から受けることができ、40年ない場合は、その月数に応じて減額されることになります。
学生納付特例で納付が猶予された期間で、保険料の納付がない場合は、その期間については老齢基礎年金の金額には反映されません【図表2】。つまり、その月の分の年金は0円と計算されます。
例えば、20歳以降の学生期間36月について学生納付特例が認められ、その後、60歳までに444月納付の期間があった場合、平成30年度の金額では72万853円(77万9300円×444月/480月)になる計算となり、満額より少ない金額となるでしょう。
満額と比較して金額が減ることになりますので、減らないようにするためには、追納制度により学生時代の保険料を後で納めるか、60歳以降に国民年金に任意加入して保険料を納める必要があります(追納については第4回目で取り上げます)。
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー