更新日: 2023.05.15 その他年金

iDeCoと国民年金基金、これから始めるならどちらがベスト? タイプ別に解説

iDeCoと国民年金基金、これから始めるならどちらがベスト? タイプ別に解説
フリーランスや自営業の方であれば、多かれ少なかれ気になるのが引退後の生活です。引退後でも生活が成り立つよう現役時代からの備えは大切ですが、どんな方法がよいのでしょうか。
 
本記事では、その代表的な手段の一つであるiDeCoと国民年金基金について、その違いとどんな方に向いているのかについて解説します。
酒井 乙

執筆者:酒井 乙(さかい きのと)

CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。  
 
長期に渡り離婚問題に苦しんだ経験から、財産に関する問題は、感情に惑わされず冷静な判断が必要なことを実感。  
 
人生の転機にある方へのサービス開発、提供を行うため、Z FinancialandAssociatesを設立。 
 

国民年金だけでは老後の生活費は賄えない

本題に入る前に、なぜそもそもフリーランスや自営業の方がiDeCoや国民年金基金を含めた老後の備えを検討する必要があるのでしょうか。その理由の一つは、会社員や公務員と比べて老後の年金受給額に違いがあるからです。
 
老後の年金、といえばまず思い浮かぶのは国が運営する公的年金です。この公的年金には、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金があります。
 
会社員や公務員の方であれば、老後に受け取る年金は国民年金(老齢基礎年金)プラス厚生年金ですが、フリーランスや自営業の方は(過去に会社員や公務員であった時期がなければ)老後に受け取る年金は国民年金だけです。
 
この国民年金は、(過去に年金保険料の未納がない)満額で令和5年時点で月6万6250円(※1)です。一方、老後の毎月の標準的な消費支出は28万2812円(総務省統計局の家計調査より、65~69歳の無職世帯、※2)となっており、年金だけで生活費を賄うのは厳しいと言わざるを得ません。
 
もちろん、年金のみで生活をやりくりすることが不可能、ということではありませんが、備えという意味では不十分です。そこで、その国民年金への上乗せとして、現役時代からiDeCoや国民年金基金などを使って老後への備えを考えておく必要があるのです。
 

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iDeCo、国民年金基金とは?

それでは、ここからiDeCoと国民年金基金について具体的に説明します。iDeCoと国民年金基金の主な目的は、老後に公的年金以外の年金を上乗せすることにあります。
 
では、この2つの違いに入る前に、主な共通点を見てみましょう。


・加入は任意

・自分で掛金の額を決められる(ただし、どちらも月6万8000円まで。また、両方に加入する場合は、iDeCoと国民年金基金合わせて月6万8000円まで)

・掛金や受け取る年金にそれぞれ税金上の優遇がある

・一定年齢(iDeCoは原則60歳(ただし加入期間が10年に満たない場合は引き延ばしになる)、国民年金基金は原則65歳)に達すると、一定期間または生涯年金を受け取れる

・積み立てた掛金は原則途中解約できない

つまり、自分で限度額の範囲内で掛金を自由に決めることができ、ある年齢になれば年金が一定期間または終身にわたり、それまでの掛金の積立額に応じた年金が受け取れるという仕組みです。
 
ただし掛金支払時や年金受取時に税優遇があるものの、積み立てた掛金は原則年金を受け取るまで解約はできない、という点には、注意が必要です。では、次にiDeCoと国民年金基金の主な違いを見てみましょう。
 

積立金の運用は、iDeCoは自分で、国民年金基金はお任せ

iDeCoと国民年金基金の大きな違いの一つは、「誰が掛金を運用するか」です。iDeCoの場合はご自身で、国民年金基金は(基金を運営する国民年金基金連合会へ)お任せです。
 
現在、銀行や証券、保険会社などからiDeCoで利用できる運用商品として定期預金や保険、投資信託が販売されていますが、iDeCoを利用する場合は、どの金融機関を選び(複数の金融機関を選ぶことはできません)、掛金をどの金融商品(例えば投資信託)で運用するかを自分で選ばなくてはなりません。
 
一方、国民年金基金ではそのような手間はありません。
 
現在7種類(ただし1口目は2種類)のなかからプランを選ぶ(または組み合わせる)だけで、自分で運用方法を決める必要はありません。支払った掛金は、国民年金基金の運営元を通じて、他の掛金すべてと合わせて株や債券などさまざまな資産で自動的に運用されます。
 

運用しだいで年金額が変わるiDeCo、あらかじめ確定している国民年金基金

iDeCoは自分で選んだ金融商品の運用成績によって、将来もらえる年金が変わります。つまり、運用成績が良ければ積み立てた額以上に年金が増える一方、逆に減る可能性もあります。
 
ただし、金融機関によってはiDeCo用に定期預金や保険など元本確保型の商品を用意しているところもあるので、運用成績に左右されたくない方はこちらを選ぶこともできるようになっています。
 
一方、国民年金基金は加入した時点で将来もらえる年金の額が決まります。iDeCoとは違い将来の年金が変動することはありません(もしそれでも年金を増やしたい場合は追加で口数を増やす必要があります)。
 
では、iDeCoで元本確保型の商品を選んだ場合と国民年金基金ではどちらが有利でしょうか? この点では国民年金基金のほうが有利です。
 
例えばiDeCoで定期預金を選んだ場合、大手銀行の利率で0.002%です。一方、国民年金基金の予定利率は1.5%(2023年4月現在)です。「iDeCoを始めたいけれど運用は怖いから定期預金で」と考えている方は、国民年金基金の加入を検討することをおすすめします。
 

年金の受取期間が決まっているiDeCo、終身で受け取れる国民年金基金

iDeCoと国民年金基金では、年金を受け取れる期間にも違いがあります。iDeCoの場合、年金を受け取れる期間は主に5年以上20年以下です(一部の金融機関では一生涯(終身)受け取れる商品(保険)も扱っていますが、利率は低めです)。
 
一方、国民年金基金は基本が一生涯受け取ることができる終身年金です(受取期間が決まっている確定年金を選ぶこともできます)。まとまった年金を一生涯受け取りたい方にとっては有利ですが、確定年金より終身年金のほうが掛金は高くなります。
 

iDeCoに向いている方、国民年金基金に向いている方

ここまでiDeCoと国民年金基金の主な違いをご説明しましたが、その内容をもとに、どんな人がどちらに向いているのかまとめてみます。
 

【iDeCoに向いている方】

・自分で金融機関を選び、運用商品を選びたい方
・ある程度のリスクを取っても、将来の年金を増やしたい方
・終身で年金を受け取ることにこだわらない方

 

【国民年金基金に向いている方】

・運用は自分ではなく、お任せしたい方
・将来もらえる年金をあらかじめ確定させたい方
・終身で年金を受け取りたい方

 
本記事を参考に、まずは老後の備えの第一歩を始めてみてください。
 

出典

国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト
国民年金基金
(※1)日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
(※2)総務省統計局 家計調査家計収支編 二人以上の世帯2023年2月 表番号3-2 無職タブ
 
執筆者:酒井 乙
CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。

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