「確定拠出年金で節税」に飛びつくな! そもそも節税の内容はわかっていますか?

配信日: 2018.07.27 更新日: 2019.08.27

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「確定拠出年金で節税」に飛びつくな! そもそも節税の内容はわかっていますか?
税金は「悪」「取られるもの」と思っていませんか? 確かに昇給後にワクワクしながら明細を見たら、所得税も上がっていて手取りがほとんど変わらない、ということがあった日には「こんなに税金取られた!」と言いたくなるのも無理はありません。
 
だからでしょうか『節税』というのには魅力的な響きがありますね。節税=どんどんやるべきこと、と思っている割に、そもそもその「税」のことを知らない人が多いのもまた事実です。
 
今回は「節税しながら作る自分年金」である、個人型確定拠出年金(iDeco)の「節税」について考えてみます。
 

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塚越菜々子

執筆者:塚越菜々子(つかごし ななこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
https://mamasuma.com

掛金全額所得控除で「節税」

普通の銀行にお金を預けても税金は安くなりませんが、確定拠出年金に拠出(入れる)と、その分は全部税金がかかる“元”から差し引くことができます (税金が直接減るわけではありません) 。その部分が減れば、パーセンテージをかけて計算する所得税や住民税が確かに減りますから節税になりますね。
 
ということは、そもそも収入がまったくない専業主婦など税金がかかる元がない場合は「節約する」税金はありませんので、ここの節税は意味がありません。
 
また、所得税は発生しているけれど、いわゆる「住宅ローン控除」があって、所得税が全部なくなり、さらに住民税から引いてくれる上限まで利用できている場合は、この「所得控除」による節税は意味がないこともあります。
 
ただし、保育料を算定する住民税の所得割額の住宅ローン控除は反映されないので、還付される税金がなくとも別の形で効果があることはあります。
 

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運用益非課税で「節税」

2つ目の節税として「運用益非課税」という節税があります。通常、証券会社などで金融商品を購入して、利益が出た場合そこに約「20%」の税金がかかることになっています。
 
これが確定拠出年金の中で購入した金融商品は、この20%がかからなくなります。
 
節税できるのは「利益にかかる税金」ですから、当然のことながら利益が出ていなければメリットがありません。定期預金のような元本保証の商品はそもそも利益(つまり利子)がほとんどつきませんから、節約できるといってもほんの僅かです。多少はブレる可能性(リスク)があっても、利益が出やすいものを選ぶことで、この節税は有利に使うことができるのです。
 

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受け取り時の「節税」

確定拠出年金の受け取り方法は一括、分割、あるいはその併用です。受け取り方によって節税の計算方法が変わってきます。
 
一括で受け取る場合は「退職金」扱い。確定拠出年金にお金を入れてきた年数×40万円が、もらった時に税金がかからない部分です。20年間積んできたのなら、同じ年に受け取るすべの退職金と合わせて800万円までは税金が掛からず、受け取ることができます。
 
20年以上になると継続年数1年あたり70万円税金がかからない部分を増やすことができます。
 
これに対して「分割」受け取りの場合は、公的年金と同じような「雑所得」という取り扱いになります。受け取る年齢にもよりますが、65歳以上でしたら公的年金と合わせて年間120万円までは税金がかかりません。
 
こちらは節税とは少し違うイメージですね。受け取り方によっては節税もできる、というほうがしっくりくるかもしれません。
 
ひとくちに「節税」といっても、いろいろと違いがあることがお分かりいただけたでしょうか。このあたりを踏まえることなく、「お得だから」と安易に始めてしまうのは危険かもしれません。
 
いろいろ優遇されている代わりに、確定拠出年金はあくまで年金制度。60歳までは原則払い出すことができないのです。運用益非課税だけでいいのなら「NISA」や「つみたてNISA」という手もあります。
 
掛金全額所得控除は、掛金を拠出している現役世代には節税になる人が多いです。
 
民間の個人年金保険はどれだけかけても所得控除の上限が4万円なのに対し、確定拠出年金の場合は掛けられる上限が一番少ない場合でも、最大14万4000円を税金がかかる元から差し引くことができます。節約する税金がある人にはやはり有利な制度ですね。
 
「何がいい」「何はよくない」という判断ではなく「自分にとっては良い」「自分には合っていない」という目線で理解すると、より有利な選択ができるようになるのではないでしょうか。
 
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
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