繰上げ受給を選択する人は「11%」! 年金を「60歳」から受け取っても損しない?
配信日: 2023.06.11 更新日: 2023.06.12
本記事では、繰上げ受給を選択した場合に何歳から損をするのか、繰上げ受給の損益分岐点が何歳からなのかについて解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金の繰上げ受給とは?
年金の繰上げ受給は、本来は65歳から受け取りが始まるところを60歳から65歳までの間に繰り上げて受給することを選択する制度です。65歳よりも早く年金を受け取ることができる点がメリットですが、注意点もあります。
それは年金額が減ってしまうことです。繰り上げて受け取った時点からひと月あたり0.4%減ってしまいます。60歳から繰上げ受給をした場合は24%の減額です。減ってしまった年金額は基本的に増えることはないので、減少した年金額を一生涯受け取ることになります。そのため、いずれ65歳から受け取った場合よりも受給総額は下回ってしまう可能性があります。
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繰上げ受給をしている人は11%
年金の繰上げ受給をしている人は、厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると11.2%となっています。約1割の人が繰上げ受給を選択しているようです。しかし、繰上げ受給を選択する人は年々減少傾向にあります。
損するのは何歳から?
年金の繰上げ受給は何歳から損をしてしまうのでしょうか? 令和5年4月からの老齢基礎年金は、満額受け取れると月額6万6250円です。これを年額に換算すると79万5000円になります。この79万5000円を65歳で受け取れると仮定し、繰上げ受給をした場合と比較していきます。
80歳まで受給した場合
65歳から80歳までは15年なので、79万5000円を15年受け取ったとすると1192万5000円です。60歳から繰上げ受給をした場合は79万5000円から24%減額されるので、年金額は60万4200円になります。この年金額を60歳から80歳までの20年間受け取ることになるので、総額は1208万4000円です。
80歳までの段階では繰上げ受給をした場合でも総額は多いことがわかります。
損益分岐点は81歳から
次に、81歳まで受給した場合を比較すると、65歳から受け取った場合は1272万円です。そして、60歳から繰上げ受給をした場合は1268万8200円になります。このことから損益分岐点は81歳頃であることがわかりました。
85歳まで受給した場合はいくら損になる?
それでは85歳まで受給した場合は繰上げ受給をするといくら損になってしまうのでしょうか?
65歳から受け取った場合は1590万円、60歳から繰上げ受給をした場合は1510万5000円です。その差は79万5000円になります。85歳まで受給すると、繰上げ受給をした場合は79万5000円損になることがわかりました。この差が少ないと感じるか多いと感じるかは個人によって違うでしょうが、参考にしてください。
損をする可能性があることを理解し、検討してみましょう
繰上げ受給を選択する人は年々減少傾向にありますが、約1割の人が繰り上げています。先に受け取ることで80歳頃までは損をしないので、65歳よりも早く受け取ることも選択肢の1つです。しかし、それ以上受け取る場合は損をしてしまうことを意識しておきましょう。
平均寿命は長くなっているので、繰上げ受給は損をする可能性が高くなっているとも考えられますが、人生は何が起きるかわかりません。早めに受け取って使い切りたいと考えている人は、繰上げ受給についても検討してみましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー