更新日: 2023.06.20 国民年金
受給額を「増やせる」年金の追納にはどんな方法が?「追納すべき人」の特徴とは?
そこで、追納の方法と追納すべき人の特徴についてまとめました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年金の追納とは
年金の追納とは、国民年金の保険料の納付について、免除や納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間の分について後から納める制度をいいます。
国民年金を満額受け取るには40年(480月)の間、保険料を支払うことが必要になるのですが、猶予などを受けていた期間がある場合も、追納をすることで、将来受け取る国民年金の額を満額に近づけることができます。
追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の分に限られています。また、3年以上前の分を追納する場合は、当時の保険料に加えて一定の金額を加算して納める必要もあります。
例えば令和5年度中に平成25年度分の追納をするのであれば、1ヶ月当たり1万5220円となります。
【図表】
出典:日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
なお、追納は国民年金独自の制度となります。厚生年金に追納制度はありません。
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追納にはどんな方法がある?
国民年金の追納の方法は、納付書による納付のみになります。通常の国民年金の保険料の納付のように、クレジットカードや口座振替といった方法での納付はできません。
また、いつの分の保険料を追納するかを指定することもできず、原則追納可能な期間のうち、最も古いものから順に行っていくことになります。
追納に必要な納付書は、最寄りの年金事務所に申請書を提出して取得することになります。詳細については、最寄りの年金事務所までご相談ください。
将来受け取る年金額を増やしたい場合は追納を検討すべき
国民年金の追納をすべき人の特徴は「将来少しでも多く年金を受け取りたい」と考えている方です。
老後資金の確保であれば、年金の追納以外にも、iDeCoやつみたてNISAなどの手段がありますが、これらはあくまでも資産運用です。生きている限り受け取れる年金とは、性質を異にします。老後に備え安定して国から支給される年金を少しでも多く受け取りたい場合は、国民年金を追納して将来に備えましょう。
ただし、厚生年金に加入しながら65歳まで働く場合は、追納しない選択肢もありです。65歳までの間は厚生年金に加入することで、国民年金第2号被保険者として国民年金の保険料を納めることができます。厚生年金に加入している間は、国民年金保険料を追加で納める必要がなく、厚生年金の保険料に含まれています。
そのため、将来60歳から65歳までの間で厚生年金に加入しながら働く予定の方は、追納をしなくとも国民年金からの年金支給分を満額受け取れる可能性もあるので、その点も考慮するといいでしょう。
節税を考えている方も追納を検討すべき
国民年金の保険料は、追納分も含め、支払った分全額社会保険料控除の対象となります。それによって所得税や住民税が安くなります。自営業者はもちろん、正社員やフリーターであっても、節税を考えている方は、国民年金の追納を検討しましょう。なお、節税を考えるのであればiDeCo加入もおすすめです。
参考までに、年収500万円程度の方が50万円追納を実施すると、所得税と住民税で合計5万円程度の節税になります(所得税10%と住民税ともに10%で試算)。
国民年金の追納はよく検討して行うべき
国民年金の追納を行うことで、将来受け取る年金額を増やしながら、節税も実現することができます。将来の年金に不安を感じる、節税をしたいと考える方は、ぜひ追納をすべきでしょう。
また、追納には10年という期間制限や、納付書を発行してもらい納付するなど確認しておくべき手続き面も存在しています。年金の追納について悩んでいるのであれば、手続き面を確認しつつ、自分が年金を追納すべきかよく考えて行ってください。
どうしても決められないという場合は、ファイナンシャルプランナーなどに相談して決めるのもよいでしょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:柘植輝
行政書士