更新日: 2023.07.29 その他年金

障害年金の受給権がなくなる場合とは?

障害年金の受給権がなくなる場合とは?
障害年金の受給を始めてから、その障害の状態は悪くなることもあれば、良くなることもあるかもしれません。障害が軽くなって障害年金が支給されなくなった場合、その受給権はすぐになくなるのでしょうか。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

障害等級が軽くなることも

障害年金は年金制度上の障害等級に該当して、その他の受給要件を満たせば、受給権が発生し、支給されます。
 
障害基礎年金は障害等級1級と、1級より障害が軽い2級の場合を対象とし、障害厚生年金は1級・2級のほか、2級より軽い3級の場合も対象としています。障害等級に該当すれば支給され、該当しないと支給されません。障害等級が重いほど年金額も高くなる仕組みです。
 
その障害の認定については永久認定と有期認定があります。永久認定の場合は一度認定されてからその後障害等級が軽く認定されることはなく、年金をそのまま受給し続けることができます。反対に悪化した場合は、重い障害等級の年金を受け取るために年金額の改定請求ができることになっています。
 
一方、有期認定の場合は、障害年金の更新制度があり、1~5年ごとに診断書(「障害状態確認届」)の内容をもとに、その時点での障害等級の判定がされ、障害等級に応じてその後の障害年金の支給がされます。
 
そのため、それまでより障害等級が軽く判定されることもあり、障害が軽くなると、年金額も下がります。場合によっては障害等級に該当しなくなったことによって年金が支給されなくもなります。
 

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障害等級に不該当になると年金は支給停止

障害基礎年金は障害等級2級以上を対象としていることから、3級以下に該当すると支給停止になります。障害基礎年金のみ受給できる人は3級になると、年金は支給されなくなります。
 
一方、障害厚生年金は障害等級3級でも支給されますので、障害基礎年金は支給停止のまま、障害厚生年金のみ支給されることもあるでしょう。障害等級3級にも該当しなくなった場合に障害厚生年金は支給停止となります(【図表1】)。
 


 
しかし、これらの場合は、あくまで年金の受給権がある中、障害が軽くなって支給が止まっている状態です。障害基礎年金や障害厚生年金の受給権そのものはなくなっていないことになります。
 

失権は「3級不該当から3年経過」と「65歳到達」、いずれか遅い時期

それでは、障害基礎年金も障害厚生年金も受給権がなくなるのはどういう場合でしょうか。
 
障害基礎年金、障害厚生年金いずれも受給権消滅(失権)は、3級にも該当しなくなってから3年経過するか、65歳に到達するか、いずれか遅い時期が到来した時です(【図表2】)。
 
つまり、受給権消滅は早くても65歳となります。たとえ3級不該当から3年経過しても65歳を迎えていなければそれまで支給停止の状態が続くことになり、3級不該当になった時期しだいでは、受給権消滅はまだかなり先になります。
 
【図表2】の条件を満たさなければ受給権そのものはなくならず、失権するまでは支給停止の状態です。それまでに再び悪化して障害等級に該当するようになると、再び年金を受けられるようにもなります。
 


 
障害年金の対象となる障害は眼、聴覚、肢体、内臓、精神などさまざまで、時に障害が軽くなることもありますが、障害状態だけでなく、年金の加入記録しだいでは、障害年金をずっと受給し続けるとは限りません。老後(65歳以降)には老齢年金を受給する可能性があることも想定して年金収入を見込む必要があるでしょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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