更新日: 2023.07.31 その他年金

自営業者です。70歳まで働けば、あとは年金だけで暮らせますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

自営業者です。70歳まで働けば、あとは年金だけで暮らせますか?
自営業者にとって、国民年金が老後の大きな収入になります。しかし、年金だけでは老後の生活資金が不安という人も多いでしょう。自営業者は、一般的な会社員の定年よりも、長く働ける可能性が高い場合もあります。
 
実際に70歳まで働いた場合、後は年金だけで生活できるのか、老後に必要な生活費はどれくらいなのか、詳しくご紹介します。
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国民年金に70歳まで加入できる?

自営業の人などが加入する国民年金は、20歳から60歳までの加入が義務付けられています。国民年金は、厚生年金に比べて年金額が少ないため、できるだけ長く保険料を納めたいところです。しかし、70歳まで働いても、原則として、リタイアする歳まで国民年金への加入はできません。
 
ただし、60歳以上65歳未満で国民年金保険料の納付期間が480ヶ月に満たない人などは、手続きをすれば国民年金に任意加入ができます。任意加入するためには、次のすべての条件を満たす必要があります。

●60歳以上65歳未満で日本国内に住所を有する
●老齢基礎年金の繰上げ受給していない
●20歳以上60歳未満までに保険料を納めた月数の合計が480ヶ月未満である
●厚生年金や共済年金などに加入していない

これらに該当すれば、65歳まで国民年金に加入できます。
 

国民年金保険料を40年間納付した場合の年金額

国民年金保険料を20歳から60歳までの40年間払った場合、満額の79万5000円(令和5年度)の年金が受け取れます。月額にすると6万6250円です。
 
自営業者で70歳まで働き、現役並みの収入が得られるなら、年金を繰下げ受給しても生活費には困らない可能性が高いでしょう。70歳から年金を受給した場合、65歳で受給する額の42.0%が加算されます。国民年金保険料を40年間納付した人が70歳で繰下げ受給をした場合の年金額は次の通りです。
 
満額の年金額79万5000円×42%=33万3900円⇒加算額
79万5000円+33万3900円=112万8900円

 
繰下げ加算で33万3900円がプラスされ、年金額は112万8900円です。月額にすると9万4075円になります。
 

リタイア後の生活費はどれくらいかかる?

40年間、国民年金に加入して、70歳で繰下げ受給した場合の年金は、月額にすると9万4075円です。この年金だけでリタイア後の生活費は賄えるのでしょうか。
 
総務省統計局が発表した「2021年家計調査年報」によると、2人以上の無職世帯の消費支出の平均額は世帯主が70〜74歳で23万9704円、75歳以上で21万24円です。65歳以上の無職単身世帯でも13万2476円です。家庭によって異なりますが、リタイア後、2人以上の世帯なら、24万円程度、単身世帯なら13万円程度の生活費がかかります。急な出費があったときは、さらに生活費がかかります。
 
配偶者が年金を受給していても、統計をみると月額9万4075円の年金だけでは生活費が足りない可能性が高いといえるでしょう。
 

老後に必要な生活資金はどれくらいか

働き方や貯蓄などを考える上で、まずは、老後に必要な自身の生活資金をしっかりと把握しておきたいものです。厚生労働省が発表した「令和3年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は男性で81歳、女性で87歳です。平均寿命まで生きる場合に必要な老後資金を計算してみましょう。
 
総務省統計局が発表した「2021年家計調査年報」では、65歳以上の無職単身世帯の平均消費支出は13万2476円です。これをもとに70歳から平均寿命までに必要な金額を計算します。
 
男性:13万2476円×11年×12ヶ月=1748万6832円
女性:13万2476円×17年×12ヶ月=2702万5104円

 
国民年金に40年間加入して、70歳に繰下げ受給をした場合の年金額は、112万8900円です。平均寿命まで年金を受給した場合の年金額は次の通りです。
 
男性:112万8900円×11年=1241万7900円
女性:112万8900円×17年=1919万1300円

 
個人の生活スタイルや状況によって異なりますが、年金だけでは、老後の生活資金を賄えない可能性が高いでしょう。
 

国民年金だけでは不安な場合は70歳までに貯蓄を

自営業者で国民年金を40年間納付して、70歳まで繰下げ受給した場合でも、年金だけでは老後の生活資金が不足する可能性が高いといえます。また、急な出費や不測の事態に備えるためにも、老後の資金は充分に確保しておきたいものです。
 
国民年金だけでは老後の生活が不安な場合は、働いている間に貯蓄をするなど資産形成をしておくとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 老齢年金ガイド 令和5年度版
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 年金の繰下げ受給
総務省統計局 2021年家計調査年報(家計収支編)
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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