共働き世帯の「妻」が亡くなった! 夫は55歳以上でないと遺族厚生年金をもらえない?
配信日: 2023.07.31
本記事では、遺族厚生年金の受給要件の男女間の違いや、遺族基礎年金の受給要件を紹介します。万が一妻が亡くなったら公的な保障を受けられるのか、自身のケースについて確認してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
共働きの妻を亡くした夫は55歳以上でなければ遺族厚生年金を受給できない
遺族厚生年金は、次の条件のいずれかに当てはまる場合に、一定の遺族が受け取れる遺族年金です。
●厚生年金保険の被保険者期間に亡くなった
●厚生年金の被保険者期間中に初診日がある病気やけがで初診日から5年以内に亡くなった
●1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けている人が亡くなった
●老齢厚生年金の受給権者が亡くなった
●老齢厚生年金の受給資格を満たした人が亡くなった
共働きで妻が亡くなった場合、夫が遺族厚生年金を受け取れるのは、妻の死亡時に、夫が55歳以上であることが要件になります。また、夫が60歳になるまでは、遺族厚生年金を受け取れません(※遺族基礎年金も受給できる場合は、55~60歳の間も受給可能)。遺されたのが妻の場合は、どちらの年齢要件も設定されておらず、男女で明確な差がつけられているのが現状です。
なお、夫が55歳未満の場合、子(18歳になった年度の3月31日まで、または20歳未満で障がい年金の障がい等級1級・2級の状態の人)がいれば、子が遺族厚生年金を受け取ることが可能です。子がいなければ、遺族厚生年金の受給権は妻の父母、孫、祖父母の順に移ることとなります。
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共働きの妻を亡くした夫が遺族基礎年金を受け取る条件は?
遺族基礎年金は、次に当てはまるときに、遺族に支給される遺族年金です。
●国民年金の被保険者が亡くなった
●国民年金の被保険者であった60~65歳未満の人で日本在住の人が亡くなった
●老齢基礎年金の受給権者が亡くなった
●老齢基礎年金の受給資格を満たした人が亡くなった
遺族基礎年金の場合は、以下の条件を満たしていれば、遺されたのが妻でも夫でも、また何歳であっても同じように受給可能です。
●子(18歳になった年度の3月31日まで、または20歳未満で障がい年金の障がい等級1級・2級の状態の人)がいる
●夫婦同居していた
●自身の前年の収入が850万円未満、所得655万5000円未満であった
裏を返すと、共働きの妻を亡くした夫は、55歳未満で、かつ条件を満たす子もいなければ、妻の遺族年金は一切受け取れないこととなります。
共働きの妻が亡くなった場合の収入減少リスクにもしっかり備える必要がある
配偶者の遺族厚生年金の受け取り要件が男女で異なることは、意外と知られていません。また、妻にはある「中高齢寡婦加算」(40~65歳未満で子がいない妻や子が18歳到達年度末日になり遺族基礎年金を受給できなくなった妻が受け取る遺族厚生年金に、65歳になるまで年59万6300円が加算される制度)も、夫になく、受給額の面でも差がつけられています。
そのため、共働きの妻が亡くなったときの収入減少に対する公的な保障が充分とは言えず、遺された夫が経済的に苦しい状況に陥ることも考えられます。
共働き家庭であっても、夫の収入のウエイトが大きい場合などは、夫の生命保険のみ、死亡保障を手厚くしている、といったケースもあるでしょう。しかし、遺族年金の格差を考えると、夫が妻に先立たれた場合も充分な保障を受けられるよう、備えておくことが必要です。
夫が遺された場合の遺族年金の支給要件を知っておこう
共働きの妻が亡くなって夫が遺された場合、妻が遺された場合と比べて遺族厚生年金の受給要件が厳しく、金額も少なくなる場合が多いのが現状です。
万が一、妻が亡くなった場合に遺族厚生年金を受け取れるかどうか、いくらくらい受け取れるのかを確認しておき、妻が亡くなっても経済的に困らないよう、民間の保険などで備えておくことが大切です。
出典
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 さ行 生計維持
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー