更新日: 2023.08.10 国民年金
【納付10年で受給資格】国民年金でもらえる「最低額」「最高額」はいくら?
一体、どれくらい減るのでしょう。本記事では、国民年金で受け取れる「最低額」と「最高額」、どのようなときに年金額が減少するのかをご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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納付10年でもらえる国民年金の最高額はいくら?
国民年金は保険料の納付期間が10年(120ヶ月)以上あれば、受給資格が得られます。年金を受け取れる人が増えるよう、2017年8月1日にそれまでの25年から10年に変更になりました。
日本に住んでいる20歳以上60歳未満で厚生年金に加入していない自営業者の人は、国民年金の被保険者となり、保険料を支払います。20歳から60歳までの40年間、国民年金保険料を支払った場合は、満額の老齢基礎年金を受け取れます。年金額は、令和5年度で79万5000円です。
納付期間が10年間の場合、老齢基礎年金は満額の4分の1となります。
79万5000円×1/4=19万8750円
国民年金保険料を10年間納付した人の年金額は、19万8750円です。国民年金は厚生年金とは異なり、収入額によって変動しないため、納付期間が同じであれば一律、同じ年金額が受け取れます。
国民年金の受給資格の注意点
国民年金は保険料を納めた期間だけでなく、保険料の免除や納付猶予がされた期間も含めて、合計で10年(120ヶ月)以上になれば年金の受給資格が得られます。
しかし、保険料の未納期間がある場合は、月数には含まれない点に注意しましょう。
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年金額が少なくなるケース
国民年金は10年以上の納付期間があれば将来年金を受け取れますが、保険料免除制度や保険料納付猶予制度、学生納付特例制度などを利用していれば年金額は少なくなります。特に、保険料納付猶予制度を利用した期間は、納付期間には含まれるものの、年金額には反映されません。
もし10年間、保険料納付猶予制度を利用しており、厚生年金など他の年金にも加入していないと、将来の年金額は0円と最低額になってしまいます。
そこで、国民年金保険料の免除や猶予を利用していても、年金額の減少を防げるのが保険料の追納制度です。年金事務所で追納の申請をして承認されると、過去10年にさかのぼって免除や猶予を受けていた期間の国民年金保険料が納付できます。
保険料免除や猶予制度について条件やどれくらい少なくなるかをご紹介します。
保険料免除制度
保険料免除制度は、本人や世帯主、配偶者などの収入の減少や失業などで、納付が難しいときに利用できる制度です。前年度の所得が一定額以下の場合に申請すると、保険料が免除されます。所得によって、次の4種類の免除制度が用意されています。
・全額免除
・4分の3免除
・半額免除
・4分の1免除
保険料を免除された期間は納付期間に含まれますが、年金額は図表1のように減少します。
【図表1】
免除の種類 | 年金額が減少する割合 |
---|---|
全額免除 | 満額の2分の1 |
4分の3免除 | 満額の8分の5 |
半額免除 | 満額の4分の3 |
4分の1免除 | 満額の8分の7 |
出典:日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
例えば、納付期間の10年のうち8年(96ヶ月)保険料を支払い、残りの2年(24ヶ月)が全額免除だった場合の年金額は次のように計算します。
79万5000円×{(納付済月数96ヶ月+全額免除月数24ヶ月×1/2)}÷40年×12ヶ月=17万8875円
免除の割合が大きく、免除された期間が長いほど、年金額が少なくなるのです。
保険料納付猶予制度
保険料納付猶予制度は、20歳から50歳未満で収入が少ない人が利用できる制度です。本人または配偶者の前年度の所得が一定額以下の場合に利用できます。保険料納付猶予期間は、受給資格に関わる月数に含まれますが、受け取れる年金額には反映されません。
10年前までさかのぼって保険料の納付ができる追納制度を利用しないかぎり、年金額は0円になるため注意しましょう。
学生納付特例制度
学生納付特例制度とは、20歳以上の学生を対象にした保険料猶予制度です。特例を受ける前年の本人所得が一定額以下の場合、国民年金保険料が猶予されます。住所がある市町村の国民年金窓口や年金事務所、在学中の学校などで申請ができます。
学生納付特例制度は、保険料の猶予を受けた月数は受給資格期間に含まれますが、年金額には反映されない点に注意しましょう。
納付10年で受給資格は得られるが老後の生活資金には不十分
多くの人が年金を受け取れるよう、2017年8月から受給資格が10年になった国民年金ですが、40年間納付の満額である79万5000円に比べると、10年間納付の場合に受け取れる年金額は最高でも19万8750円とかなり減少します。
また、保険料納付猶予制度や学生納付特例制度を利用し、厚生年金などに加入もせずに追納しないままでいると、将来の年金額は0円と最低額になってしまいます。
経済的な理由などの事情もあるでしょうが、納付期間が10年では老後の生活資金には不十分といえるでしょう。老後のためには、できるだけ保険料を長く納めたいものです。保険料を納めるのが困難な場合は、免除や猶予の制度を利用して、利用後は追納するようにしましょう。
出典
日本年金機構 老齢年金ガイド 令和5年度版
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー