更新日: 2023.08.18 その他年金

年金を「担保」に生活費が借りられると聞きました。これって借りても大丈夫?

執筆者 : 柘植輝

年金を「担保」に生活費が借りられると聞きました。これって借りても大丈夫?
生活に困っている高齢者に対して「年金を担保にしてお金が借りられますよ。」という話を持ち掛けている事業者の存在が、金融庁などに度々報告されています。そういった業者からお金を借りると、何らかのトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
 
そこで、年金を担保にお金を借りることの是非やトラブル事例を紹介します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年金を担保にお金を借りることは違法行為

これは多くの方に知っていただきたい事実なのですが、現在、年金を担保にしてお金を借り入れる行為は、法で禁じられている違法行為です。
 
どんなに良い条件を提示されたり、どんなにお金に困っていたりしても、年金を担保にお金を借り入れる行為は絶対にしないでください。実際、厚生労働省や金融庁など各機関が注意喚起を促しているほどです。
 
厚生労働省によれば下記のようなトラブルが起こっているようです。

・年金証書や預金通帳などを担保と称して取り上げられ、高金利の融資を契約させられる。
・担保価値のない物品を質に入れさせるが、実態としては年金などを担保に高金利で契約させられる(いわゆる偽装質屋)。

お金を借りるために年金を担保にされる状況があったら、「違法なやり取りだ」と覚えておいてください。
 

年金担保貸付制度はすでに終了している

年金を担保にお金を貸し付ける制度について、以前は年金担保貸付制度というものがありました。こちらについては、独立行政法人福祉医療機構が運営していた制度であり、違法ではなく適法な制度です。
 
ただ、年金担保貸付制度は令和4年3月末までで新規の貸し付けを終了しており、現在は返済のみができるようになっています。
 
したがって、今後は年金担保貸付制度の名前を出されても、年金を担保にお金を借りないようにしてください。
 

違法な貸金業者を見極める方法

日本において、お金を貸し付ける貸金業を営むには登録が必要となっています。登録の有無については金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」にて検索することができます。
 
そのため、貸金業者とのやり取りが発生しそうなときなどは、登録を受けているか、登録番号を聞いて検索してみてください。もし、登録がなければそれは違法な業者です。
 
また、何らかの理由で答えようとしない場合も、ほぼ間違いなく違法な業者とみて間違いないでしょう。通常であれば、いつでも登録番号を示すことができるようにしていたり、確認できる体制を整えていたりするからです。
 

年金を担保にしないと生活できないほど困ってしまったときは?

もし、年金を担保にしてお金を借りなければならないほど困っているときは、「生活福祉資金貸付制度」を利用するようにしてください。
 
本制度は日常生活や自立に必要なお金を借りられる制度になります。公的制度であるため、年金を担保にするなど法外な条件を突き付けられることもなく、安心してお金を借りることができます。
 
いきなり貸し付けというのは不安な場合や、問題を根本から解決したいというような場合は、自立相談支援機関へ相談するのがおすすめです。
 
自立相談支援機関では、現状の問題を踏まえ、解決に向けた支援を受けられます。相談先の自立相談支援機関の場所が不明な場合は、市区町村役場に問い合わせることで確認ができるようになっています。
 

年金を担保にしたお金の借り入れは絶対にNG

令和4年4月以降、年金を担保にした貸し付けは、いかなる場合も禁止されています。過去、例外的にそれが許されていた、年金担保貸付制度という事業もすでに終了しています。
 
違法な貸金業者は、お金に困る年金生活者に、あの手この手でお金を借りさせようとしてきます。違法な貸金業者による被害に遭わないように、絶対に年金を担保にお金を借りないようにしてください。
 
少しでも怪しい業者だと感じたら、登録番号を聞き出し、貸金業の登録がされているか確認するとともに、契約をしないようにしてください。
 

出典

日本年金機構 違法な年金担保融資にご注意ください。
独立行政法人福祉医療機構 年金担保貸付については、令和4年3月末で申込受付を終了しました。
金融庁 違法な金融業者にご注意!
金融庁 登録貸金業者情報検索サービス
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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