更新日: 2023.10.05 その他年金

親が「年金が10万円もない」といっています。平均額は約14万円のはずですが、なぜ差があるのですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

親が「年金が10万円もない」といっています。平均額は約14万円のはずですが、なぜ差があるのですか?
年金の平均月額は14万円くらいのはずなのに、実際に受け取ってみたら10万円にも満たなかった、などの状況に直面する場合があります。1ヶ月あたりに受け取れる年金は、一律ではありません。加入していた年金の種類によって異なりますし、そのほかにもどのくらいの収入を得ていたかなどで変わってきます。
 
本記事では、年金の平均額がどのくらいなのか、受け取れる年金額に差がある理由、年金を増やす方法を解説します。
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平均年金月額は公的年金の種類によって異なる

1ヶ月あたりに受け取れる年金の平均額は以下のように、公的年金の種類によって異なります。
 

●厚生年金保険(第1号):14万6000円
●国民年金:5万6000円
●厚生年金保険(第2~4号)(基礎年金額を含まない):13万2000円

 
受け取れる年金の種類が厚生年金であれば、平均月額は14万6000円なので「14万円くらい受け取れる」と認識してよいでしょう。しかし、国民年金の平均月額は5万6000円なので、10万円もないというケースは当然ながらありえます。
 

受け取れる年金額に差がある理由

受け取れる年金額に差がある主な理由は、以下のとおりです。
 

●加入する年金の種類
●給与額の違い
●統計上、男性よりも女性のほうが生涯賃金が少ない

 
理由別に内容を解説します。年金額の少なさについて疑問を持つ人は、ぜひチェックしておきましょう。
 

加入する年金の種類

加入する年金が国民年金か厚生年金かで、将来的に受け取れる年金額が異なります。
 
公的年金制度は2階建て構造になっており、1階部分が老齢基礎年金と呼ばれる国民年金です。国民年金は日本に住む満20歳から60歳までのすべての人に加入義務があります。さらに2階部分の厚生年金は、会社員や公務員などが加入する年金で、国民年金に上乗せした金額を受け取れる仕組みです。
 
従って、国民年金にしか加入していない自営業者、フリーランスと比較すると、厚生年金の被保険者だった人のほうが将来的に受け取れる年金額は多くなります。
 

給与額の違い

国民年金保険料は一律であるのに対し、厚生年金は給与額によって変わります。給料を多くもらっている人のほうがおさめる保険料も高くなり、将来的な年金受け取り額のアップにつながる仕組みです。
 
厚生年金は、適用事業所で常時雇用されている70歳未満の人は必ず加入しなければなりません。就業規則や労働契約などに定められた従業員の1週間の所定労働時間、1月の所定労働日数の4分の3以上ある従業員が対象で、現在のところ、臨時で雇用される人や季節的業務に雇用される人は含まれません。
 

男性よりも女性のほうが生涯賃金が少ない

納付する保険料や年金受給額に男女差はないものの、男性と比べて女性のほうが生涯賃金は少ない傾向です。結婚や出産・育児などでやむなく退職をしたり、パート勤務に切り替える必要があったなどの事情がある場合も少なくありません。
 
配偶者の扶養に入る、結婚や出産前と比べて給料額が低くなってしまったなどの点から、受け取れる年金額が少なくなるというケースは発生するでしょう。
      

受け取れる年金を増やす方法とは

受け取れる年金を少しでも増やしたい場合は、以下の方法を検討してみるとよいでしょう。
 

●年金の繰下げ受給
●任意加入制度の利用
●働いて厚生年金に加入する

 
国民年金にしか加入していない、保険料を満額納付していない、老後も働きたいと考える人は、ぜひこれらの方法を取り入れてみてください。
 

年金の繰下げ受給

年金の繰下げ受給で、老齢年金の受取開始時期を66歳0ヶ月〜最長75歳0ヶ月まで遅らせれば年金の増額が可能です。
 
年金を繰り下げた場合、1ヶ月あたり0.7%の増減率が適用します。遅らせる期間が長いほど年金受給額を増やせる制度で、70歳0ヶ月で年金を受け取ったときの増減率は42.0%、最長の75歳0ヶ月まで繰り下げれば84.0%もの増減率が適用します。
 

任意加入制度の利用

20歳以上60歳未満までの国民年金保険料の納付月数が480月に満たない、老齢基礎年金の受給資格を満たしていないという人は、任意加入制度の利用を検討してください。60歳以降も国民年金保険料を支払うことで、65歳から受け取れる老齢基礎年金の受給額を増やせます。
 
任意加入するための条件は以下のとおりなので、該当するかどうかをチェックしておきましょう。
 

●60歳以上65歳未満で日本国内に住所を有する人
●20歳以上60歳未満までにおける保険料の納付月数が480月(40年)未満
●老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない
●厚生年金保険、共済組合等に加入していない

 

働いて厚生年金に加入する

定年後も再就職先を探したり、再雇用してもらえる予定があったりするなら、厚生年金に加入して年金額を増やしましょう。厚生年金は70歳まで加入が可能です。厚生年金に加入して保険料を納付し続けていれば、受け取れる老齢厚生年金額を増やせます。老後資金の計画に合わせて、無理のない範囲内で働いてみてください。
      

受け取れる年金額を正しく理解したら増やすための対策を検討しよう

将来的に受け取れる年金額は、加入する年金やどのくらいの給料をもらっていたかによって大きく異なります。そのうえで、自分が加入していた年金や満額納付ができているかなどを確認してみてください。
 
年金額が思うようにもらえなさそうであれば、繰下げ受給や任意加入制度、といった方法で遠近額を増やす対策も行いましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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