更新日: 2023.10.24 国民年金

国民年金保険料を40年支払った場合の保険料総額を考えると、損した気になります。そもそも、本当に受給できるのでしょうか。

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

国民年金保険料を40年支払った場合の保険料総額を考えると、損した気になります。そもそも、本当に受給できるのでしょうか。
国民年金法により、20歳になると国民年金の被保険者になることが義務付けられています。つまり、20歳から60歳まで保険料を納付しなければならず、総額を考えると損しそうな気がするかもしれません。また、実際に国民年金を受け取れるのか不安に思う場合もあるでしょう。
 
そこで本記事では、国民年金の保険料を40年間支払うケースについて、損得の目安や受給の可否の判断材料を紹介します。
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どれだけ生きたら損をしないのか?

日本年金機構によると、令和5年度の国民年金の保険料は1ヶ月あたり1万6520円です。また、保険料は物価の変動率などを考慮して見直され、毎年変動しています。そのため、同じ40年間の納付でも、人によって保険料の総額は異なるので注意しましょう。
 
本記事では、令和5年度の金額で支払い続けると仮定します。この場合、60歳までに支払う保険料は「1万6520円×40年×12ヶ月=792万9600円」です。
 
一方、令和5年度の国民年金の満額は、1ヶ月あたり6万6250円となっており(出典:日本年金機構)、物価の変動率などを踏まえて毎年改定される点は保険料と共通です。したがって、受け取り始めのタイミングによって、同じ年数の満額受給でも年金の総額は違います。
 
令和5年度の金額を受け取り続ける場合、10年間の国民年金は「6万6250円×10年×12ヶ月=795万円」です。つまり、原則どおり65歳から受給すると損益分岐点は75歳になります。75歳に到達してからも生きられるなら得をするというわけです。
 
なお、厚生労働省が作成した令和4年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は80歳を超えています。その統計データを参考にすれば、損をする可能性は高くないということになります。
 

納付年数が10年以上なら大丈夫

国民年金を受け取る要件として、受給の資格期間を満たしていることが挙げられます。資格期間とは実際に保険料を納めた年数であり、これが最低基準をクリアしていなければなりません。ただし、納付していない場合でも、免除が認められていた期間はカウントされます。
 
なお、以前の最低基準は25年でしたが、平成29年8月1日から10年になりました。この制度改正の背景にあるのは、国民年金を受け取りやすくして、保険料の納付を促すという狙いです。
 
たしかに受給のハードルは下がりましたが、資格期間が足りなければ、いくら納付済みでも受け取れないことは以前と同じです。いずれにせよ、40年にわたって保険料を支払っているなら問題はありません。受給の要件という観点では、本当に受け取れるのかを心配しなくても大丈夫です。
 

国民年金が破綻するリスクは?

上記の観点で不安はなくても、そもそも国民年金が破綻しないか心配する人もいるでしょう。この件について参考になるのは、厚生労働省の公的年金制度に関する考え方です。国民年金は積み立て式の保険ではなく、賦課方式の世代間扶養で成り立っています。
 
つまり、保険料を納める現役世代が高齢の年金受給者を支える構造です。日本の経済が機能不全にでもならない限り、その時々の納付から財源を確保できる仕組みになっています。このような実情にもとづき、厚生労働省は国民年金の永続性を説明しているのです。
 
よって、破綻のリスクを過剰に懸念する必要はなく、金額が減ることはあっても、基本的には受給が可能だと認識しておきましょう。
 

判断の根拠となる適切な情報を押さえよう!

国民年金について、保険料の元が取れる年齢の目安を知ることは大事です。そうすることで、損しそうだという不安を膨らませずに済みます。資格期間に関する要件の把握も、自分が受給できるか否かを考えるために必要です。
 
また、国民年金の破綻というリスクに対し、思い込みで警戒しすぎるのはよくありません。制度に対する理解を深めて正しい判断を行えるようになりましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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