年金の繰下げ受給で「84%」増額された年金がもらえるって本当!? デメリットはないの?
配信日: 2023.12.15
ただし、この制度にはデメリットも存在するため、安易に利用すると後悔するかもしれません。そこで本記事では、年金の繰下げ受給について説明し、増額の仕組みやデメリットなども詳しく紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金の繰下げ受給はどのような制度?
日本では、年金の保険料を20歳から40年にわたって納付することが義務付けられています。日本年金機構によると、老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができます。
この受給開始のタイミングはあくまでも原則であり、後ろにずらすことも認められています。これが年金の繰下げ受給であり、メリットは受け取る金額が割り増しになることです。1ヶ月遅らせると0.7%アップし、先延ばしの間隔を長くするほど、増額率は高くなっていきます。
受給の開始を希望する66歳以降の時期に手続きを行うと、その時点で増額率が決まります。
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最大84%アップ! 増額率の計算方法は?
繰下げ受給の増額率を算出する方法はとてもシンプルです。先延ばしの月数分だけ、1ヶ月の割増し単位である0.7%を加算します。
例えば、受給のスタートを1年間後ろにずらした場合、増額率は「0.7%×12ヶ月=8.4%」です。年金の受給開始を延ばせる年齢の上限は75歳となっています。75歳で受け取り始めるなら、65歳から10年間も遅らせることになります。
これは最も年金が増えるパターンであり、具体的な増額率は「0.7%×12ヶ月×10年=84%」です。65歳から受け取るはずだった金額の1.84倍を、75歳から生涯にわたって受給できます。
損を避けたいならデメリットに要注意
年金の増額は魅力的なメリットですが、デメリットがあることも忘れてはいけません。以下に主なデメリットを2つ挙げるので理解しておきましょう。
・年金の総額が低くなる可能性がある
自分の寿命によっては、普通に受け取る場合と比べて、年金の総額は少なくなる場合があります。令和5年の国民年金の満額6万6250円を、65歳から87歳まで受け取ると仮定した場合、総額は「6万6250円×12ヶ月×22年=1749万円」です。
一方、75歳からの繰下げ受給で87歳まで受け取ると、総額は「6万6250円×1.84×12ヶ月×12年=1755万3600円」になります。87歳以降も生きるなら、このように繰下げ受給のほうが総額は高くなります。
しかし、86歳以前に亡くなると仮定して計算すると、繰下げ受給を行わなかったケースを下回ってしまうのです。
・繰下げ待機期間中は加給年金が受け取れない
厚生年金保険に20年以上加入している人は、加給年金を受け取れる可能性があります。これは家族手当のような位置づけのもので、配偶者や子供の年齢が一定以下であることも受給の要件です。
厚生年金の繰下げ受給を行う場合、加給年金だけを先行して受け取ることは認められません。受給開始の時期はセットで後ろにずれてしまいます。
制度を理解しよう! デメリットを踏まえた慎重な判断が必要
少しでも老後資金を増やしたい人にとって、年金の繰下げ受給は魅力的な制度です。受給開始を75歳まで遅らせるなら増額率は84%にも及びます。
ただし、早く亡くなると、普通に受け取るより年金の総額は低くなりかねません。加給年金を受け取るタイミングにも注意が必要です。この制度の利用を検討するなら、デメリットもしっかり考慮したうえで慎重に判断しましょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー