更新日: 2019.09.02 その他年金
老後が不安…年金って結局どうなるの? 政府レポートから読み解く公的年金の将来
次回の財政検証は来年、2019(平成31)年に予定されており、厳しい財政事情と高齢化や労働力人口の減少から、年金支給開始年齢を68歳に引き上げるなどの厳しい案が出てくることが予想されています。
執筆者:前田紳詞(まえだ しんじ)
ファイナンシャルプランナー
日本経済新聞読み方専任講師、ドラッカー学会学会員、前田マネジメント代表、㈱マイビジネスクリエイトオフィス取締役、 NPO法人人財育成支援ネット理事
外資系メーカー、外資系金融機関で勤務後、ファイナンシャルプランナーとして独立。 現在、前田マネジメント代表として企業、金融機関、行政、医療関係機関、研修センター、商工会議所などで講演や研修講師を担当。
幅広い知識や経験を活かし、ファイナンシャルプランナー業務だけでなく人材育成やマーケティングなどのマネジメント研修も行っている。年間講演回数は150回以上。
「教育を通じて人の成長のサポートをする」を理念に、自ら考え行動し人生を豊かにする「ライフマネジメント」の実現を目標に活動している。
http://m-lm.biz
将来受け取る公的年金の厳しい現実
現役時代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較して厚生年金がどのくらいの割合で受け取れるのかを「所得代替率」と言います。2014(平成26)年の時点では62.7%が標準モデルとなっています。
2014(平成26)年に実施された『財政検証』では今後の経済成長率や人口推移をパターン化し、所得代替率がどうなるかについて8種類のケース予想を行いました。
出典元:厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し ー 平成26年財政検証結果 ー」
ケースAからHまでのシミュレーションの結果、現在の60%程度の水準から50%程度の水準になり厚生年金の受取額は実質的に約10%低下することが判明しました。
例えば、所得代替率が一番高いケースCでの検証結果は以下の図になります。
一番良いケースCでも当初6割を超えていた厚生年金は2030年には56.9%まで低下していきます。
将来の公的年金の減少を補うため、厚生労働省は確定拠出年金制度の対象者を広げ、金融庁はNISA制度の拡充を進めています。公的年金だけに頼らず、自分でリスクをとりながらも資産運用をしてお金を貯めていく人には税金面で優遇していく方針です。
逆に何もしないでいる方が、将来リスクが大きくなる時代になってきました。
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2019(平成31)年財政検証では年金支給開始年齢が65歳から68歳に引き上げ案?
今年4月11日財務省の財政制度分化会において「人生100年時代」という長寿命社会に対応するため、年金支給開始年齢を現在の65歳から68歳へ引き上げ、同時に給付水準も引き上げる提案が行われました。
出典元:財務省「社会保障について」
来年始まる「平成31年財政検証」に向けての財務省からの提言です。政府としては働き方改革の一環として誰もが70歳ぐらいまでは働ける環境を整備していく方向です。60歳以上も元気に働いて年金を積み立ててもらい税金も納めてもらうことで、財政の安定性を図る計画です。
ライフプランを考えるときに、これまでは60歳定年や65歳年金支給開始を前提に考えていました。これからは68歳、70歳まで働いて年金を受け取るという考え方に切り替えていった方がよいかもしれません。
出典
厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し ー 平成26年財政検証結果 ー」
※『平成26年財政検証』について詳しく知りたい方は厚生労働省のホームページ「いっしょに検証!公的年金 ~財政検証結果から読み解く年金の将来」
財務省「社会保障について」
Text:前田 紳詞(まえだ しんじ)
ファイナンシャルプランナー