更新日: 2024.01.11 その他年金
今まで専業主婦でしたが、熟年離婚を考えています…。今後の「年金」が心配ですが、夫の分からどれくらい分けてもらえますか?
年金分割制度を利用すると、婚姻期間中の配偶者の年金を分割して受け取れるようになり、離婚後の老後資金の不安を和らげるのに役立ちます。本記事では、年金分割制度の概要やどのくらいの年金が分割されるのか、利用時の注意点をわかりやすくまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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2種類の年金分割制度を理解しよう
年金分割制度を利用すると、婚姻期間中の厚生年金保険被保険者期間に応じて、年金を当事者間で分割できます。年金分割制度には「合意分割」「3号分割」の2種類があり、請求できる条件や請求方法に違いがあるため、手続きをするときには注意が必要です。
日本年金機構「離婚時の年金分割」をもとに、それぞれの制度について制度の概要や年金分割請求の方法を簡単に説明します。
当事者間の合意が必要な「合意分割」
合意分割制度は、婚姻期間中における厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)について、当事者間で分割する制度です。分割割合(按分割合)は、双方の合意や裁判手続きで決めます。分割を受けると、自身の厚生年金記録と、相手方から分割された標準報酬をもとに計算した年金を受給できます。
専業主婦が一方的に請求できる「3号分割」
3号分割制度は、夫の扶養に入っていた専業主婦など、婚姻期間中に国民年金の第3号被保険者の期間がある人が請求することで、相手方の厚生年金記録を2分の1の分割を受けられる制度です。
合意分割制度と違い、当事者間の合意は必要ありません。ただし、請求の相手が対象の年金額を基礎とする障害厚生年金の受給権者の場合、3号分割の制度は利用できないので注意が必要です。
分割を受けると、合意分割と同様に自身の厚生年金記録と、相手方から分割を受けた標準報酬をもとに計算した年金を受給できます。
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年金分割でもらえる年金の割合は?
年金分割で分割を受けられる年金の割合は、合意分割と3号分割のいずれを利用するかで異なる可能性があります。
合意分割の場合、分割を受けられる年金は、相手との話し合いや裁判手続きで決めた分割割合に応じた自分の取り分です。3号分割の場合は、相手の厚生年金記録の2分の1の分割を受けられると決まっており、話し合いなどで調整する必要はありません。
年金分割制度を利用するときの注意点
離婚時の年金分割制度を利用する場合には、制度のルールを正しく理解することが大切です。とくに注意が必要なのは、次の3点です。
・相手に厚生年金加入期間がない場合は請求できない
・離婚翌日から2年を超えると原則請求できない
・相手の年金額全体を分割できる制度ではない
以下で、三つの注意点について詳しく見てみましょう。
相手に厚生年金加入期間がない場合は請求できない
離婚時の年金分割制度は、婚姻期間中の厚生年金記録を分割する制度です。そのため、元配偶者が自営業者やフリーランスなど婚姻期間中の厚生年金加入期間がない相手である場合は、請求しても年金の分割を受けられません。
離婚翌日から2年を超えると原則請求できない
年金の分割請求ができる期限は、原則として、次に当てはまる日の翌日から2年以内です。
・離婚をしたとき
・婚姻の取り消しをしたとき
・事実婚関係の人が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係の解消が認められたとき
※出典:日本年金機構「離婚時の年金分割 分割請求の期限」
分割請求に関する審判や調停が請求期限までに終わらなかった場合など、一定の場合を除いて、期限を過ぎると分割請求ができなくなります。
相手の年金額全体を分割できる制度ではない
離婚時の年金分割制度は、元配偶者の年金そのものを分割する制度ではありません。年金記録を対象としているため、分割を受ける本人が年金の受給資格期間を満たしていない場合は、分割による年金も受給できません。
年金分割の対象となる年金には、基礎年金部分は含まれないことにも注意しましょう。また、婚姻中の年金記録が対象のため、婚姻前や離婚後の厚生年金加入期間にかかる年金は対象となりません。
年金分割制度を活用して離婚後の生活資金を確保しよう
年金分割制度を利用すると、専業主婦として元配偶者の生活を支えた期間の年金の分割を受けられます。制度の種類と内容を理解して、不備のないように手続きをしましょう。また、自分自身の年金加入状況が受給資格期間を満たしていない場合は、追納や任意加入などの方法を検討し、分割を受けた年金を確実に受け取れるよう準備することも大切です。
出典
日本年金機構 離婚時の年金分割
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー