更新日: 2024.01.25 その他年金

ギリギリまで年金受給を繰下げて多くの老後資金を集めたいです! ただ、平均寿命との兼ね合いが心配です……。

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

ギリギリまで年金受給を繰下げて多くの老後資金を集めたいです! ただ、平均寿命との兼ね合いが心配です……。
年金は原則として65歳から受け取ることが可能です。ただし、66歳以降75歳までの間に繰り下げて年金を受け取った場合、受給する年金額を増やせます。とはいえ、「自分が何歳まで生きられるのか…?」と平均寿命との兼ね合いが心配になる方もいらっしゃるかもしれません。
 
そこで本記事では、繰下げ受給の「損益分岐点」について解説します。あわせて、繰下げ受給の概要についても紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

繰下げ受給とは?

年金の繰下げ受給を選択すると、受け取る時期を遅らせた分、年金額を増額させることができます。日本年金機構によると、増額率は1ヶ月につき0.7%です。増額率の計算式は「0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数」です。
 
例えば、67歳1ヶ月で受け取ることにした場合、「0.7%×25ヶ月」で増額率は17.5%になります。最大の増額率となる75歳で受け取るとしたら、「0.7%×120ヶ月」で増額率は84%です。
 
例えば、本来もらえる年金が6万円の場合、75歳まで繰下げれば、「6万円×1.84」で、11万400円もらえることになります。いったん年金を受け取ると、その時点で増額率は固定され、一生涯変わることはありません。
 
繰下げの上限年齢は75歳までです。そのため、75歳以降はいくら受け取りを遅らせても、年金が増額されることはありません。また、加給年金額や振替加算額は増額の対象外です。65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までに、障害給付や遺族給付を受け取る権利が発生した場合、繰下げ受給はできなくなります。
 
さらに、繰下げ待機期間中、他の公的年金の受給権が発生すると、その時点で増額率が固定されることにも注意しましょう。
 

損益分岐点とは?

年金の受け取りは原則65歳です。そのため、65歳で受け取った場合の年金を100%として、損益分岐点を計算すると、「100%×10年÷84.0=11.904年」になります。つまり75歳から年金を受給開始した場合、およそ11年で65歳から受給した場合の総額を上回ります。
 
厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によれば、男性の平均寿命は81.05歳、女性は87.09歳です。そのため、平均寿命まで生きると仮定した場合、男性は69.22歳が受け取り開始の損益分岐点になります。
 
一方、女性は75.26歳が損益分岐点です。繰下げの上限年齢は、75歳までです。ということは、平均寿命まで生きることができれば、女性の場合は上限の75歳まで繰り下げても損することはないと考えられます。
 

損益分岐点から何歳まで繰下げるかを考えよう

年金の受け取り総額が65歳で受給した場合に追い付く損益分岐点は、受給開始から11年10ヶ月後です。平均寿命まで生きると仮定した場合、受け取り開始の損益分岐点は男性は69.22歳、女性は75.26歳です。ただし、繰下げの上限年齢は75歳までです。
 
ということは、女性の場合、平均寿命まで生きることができれば、上限の75歳まで繰下げても損はしないと考えられます。自分の経済環境や健康状況などを考慮し、いくつから年金受給を開始するのか検討するとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集