更新日: 2024.02.14 その他年金

「働いていると年金はもらえないの?」というギモン。在職老齢年金とは?

「働いていると年金はもらえないの?」というギモン。在職老齢年金とは?
定年延長など、長く働くことが当たり前の時代になりつつあります。公的年金の受給は基本的に65歳からですが、60代前半で老齢厚生年金を受給している人もいます。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

特別支給の老齢厚生年金とは?

「年金手続きの書類がきたので必要事項を記入して提出したのに、年金がもらえないってどういうこと?」と嘆くA子さんは63歳の会社員です。「給料があったらもらえないの?」という質問がきたので、「たくさん給料をもらっているから仕方がないよ」と返答をすると、彼女は苦笑いしていました。この仕組みを少し解説します。
 
そもそも現行では65歳から支給される公的年金ですが、以前は60歳から支給されていました。支給年齢を一気に5歳引き上げるのは難しいので、今は段階的に受給年齢を引き上げている過渡期です。部分的に示したものが図表1です。
 
(図表1)


 
このように「特別支給の老齢厚生年金」として、生年月日に応じた年齢から報酬比例部分を受給できます。A子さんは昭和35年5月生まれなので、本来は62歳から受給資格があります。そこで、手続きの書類が送られてきたというわけです。
 
「公的年金を繰下げ受給することで、受け取る年金の受給額を増やすことができます。逆に、繰上げ受給で早期から受け取ることもできますが、その場合の受給金額は減額されます」というような文言で、老後資金を増やす方法の一つとして「繰下げ受給」が紹介されることが増えました。
 
この繰下げや繰上げは、原則65歳から受給が始まる公的年金が対象です。特別支給の老齢厚生年金を受け取っても、65歳からの年金を減額されることはありません。
 

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調整される金額はどのように決まる?

さて本題の「年金がもらえない」の話です。勤務先で厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受給している人は、給料と年金の合計額に応じて年金の支給が停止される場合があります。
 
これがA子さんのケースです。具体的な計算方法は次のようになります。(注:65歳未満の人の令和4年3月以前の年金については、支給停止の計算方法が異なりますので、詳細は日本年金機構ホームページ(※)をご参照ください)
 
在職老齢年金の計算において、キーとなる数字は48万円です。「基本月額」と「総報酬月額相当額」が出てきますので、2つの用語を説明します。

<基本月額>
加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額
<総報酬月額相当額>
その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12

基本月額と総報酬月額相当額の合計が48万円以下の場合、年金は調整されることなく全額が支給されます。48万円を超える場合は、以下の計算式で調整後の年金支給月額を算出します。
 
在職老齢年金による調整後の年金支給月額=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2
 
算出された年金支給月額がマイナスの場合は、老齢厚生年金の支給が全額停止されます。
 
A子さんから「65歳以降も働いていたら、引き続き年金はもらえないの?」という質問がありました。上の算式で年金の支給額が調整されるのは老齢厚生年金です。「老齢基礎年金は働いていても全額支給されます。
 
給料で生活できるのであれば、老齢基礎年金の受給を繰下げて受給金額を増やすこともできますよ」という筆者の回答を聞き、「いつまで生きられるかは分からないしね」とA子さん。年金の受け取り方は判断が難しいところですが、65歳になった時点でその後の働き方も見えてくるはずです。自分の生き方と“要相談”ということで、猶予期間がありますのでじっくりと考えて決めるのが良策でしょう。
 

出典

(※)
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額 受給開始時期
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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