2024年度の年金額はどれくらい上がる?(2)

配信日: 2024.04.08

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2024年度の年金額はどれくらい上がる?(2)
前回(1)では、年金額改定のルールと2024年度が2023年度より+2.7%となることについて取り上げました。今回は実際の老齢基礎年金の額がどのように変わるかを見てみましょう。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

2024年度の新規裁定者と既裁定者

名目手取り賃金変動率が+3.1%、物価変動率が+3.2%で、物価が賃金を上回っているため、2024年度は新規裁定者(1957年4月2日以降生まれ)も既裁定者(1957年4月1日以前生まれ)も賃金を基準に改定されること、これにマクロ経済スライドの調整が-0.4%分あって、結果+2.7%の改定になることは前回取り上げたとおりです。
 
2024年度に新規裁定者(67歳以下)となるのは1957年4月2日以降生まれの人、既裁定者(68歳以上)となるのは1957年4月1日以前生まれの人です。2023年度に67歳になる人(1956年4月2日~1957年4月1日生まれ)は、2023年度では新規裁定者でしたが、2024年度は68歳になるため、既裁定者になります(【図表1】)。

図表1

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2024年度の老齢基礎年金の額

2024年度は、既裁定者の年金額が68歳既裁定者(1956年4月2日~1957年4月1日生まれ)と69歳以上既裁定者(1956年4月1日以前生まれ)とでは異なります。そして68歳既裁定者と新規裁定者(1957年4月2日以降生まれ)が同じ額となります。
 
具体的にはどういうことかといいますと、まず、前提として、満額の老齢基礎年金は「法定額(78万900円)×改定率」で算出されることになっています。2023年度の満額の老齢基礎年金は、78万900円に2023年度の改定率を掛けて算出した額です。2023年度の新規裁定者(1956年4月2日以降生まれ)は78万900円に改定率1.018を掛けて算出し、既裁定者(1956年4月1日以前生まれ)は78万900円に改定率1.015を掛けて算出していました。
 
その結果、新規裁定者は79万5000円(100円未満四捨五入)、既裁定者は79万2600円(100円未満四捨五入)が満額の老齢基礎年金でした。2023年度は新規裁定者と既裁定者で改定基準がそれぞれ名目手取り賃金変動率と物価変動率で異なっていたため、改定率も異なり、結果、老齢基礎年金の額も異なっていたことになります。
 
そして、2024年度は2023年度より+2.7%での改定となりますが、新規裁定者(1957年4月2日以降生まれ)と68歳既裁定者(1956年4月2日~1957年4月1日生まれ)、つまり2023年度に新規裁定者だった人は1.018に1.027を掛けることになり、2024年度の改定率は1.045です。一方、69歳以上既裁定者(1956年4月1日以前生まれ)、つまり2023年度にすでに既裁定者だった人は1.015に1.027を掛けることになり、2024年度の改定率は1.042になります。
 
実際の年金額は新規裁定者と68歳既裁定者が78万900円×1.045で81万6000円(100円未満四捨五入)、69歳以上既裁定者が78万900円×1.042で81万3700円(100円未満四捨五入)となります(【図表2】)。

図表2

新しい年金額は通知で確認

生年月日に関わらず+2.7%での改定がされることにはなりますが、2023年度同様、生年月日によって実際の年金額が分かれることになります。少々複雑ですが、このような仕組みで年金額の改定が行われます。2024年度の年金は2024年6月14日振込分(2024年4月分・5月分の年金)からです。すでに年金を受給している人は、6月初旬に届く「年金額改定通知書」で新しい年金額について確認してみましょう。
 

出典

特定非営利活動法人 年金・福祉推進協議会 WEB年金広報(2024年2月号)
厚生労働省 国民年金法
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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