更新日: 2024.05.01 その他年金

現在70歳、夫の年金「15万円」と自分の年金「7万円」で生活していましたが、夫が亡くなりました。この場合「遺族年金」は受け取れますか? 子どもも成人しているので、あまり受け取れないでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

現在70歳、夫の年金「15万円」と自分の年金「7万円」で生活していましたが、夫が亡くなりました。この場合「遺族年金」は受け取れますか? 子どもも成人しているので、あまり受け取れないでしょうか?
一般的に、夫婦で老後を過ごす際に主な収入源となるのが年金です。例えば妻が専業主婦で夫が会社員だった場合、妻は老齢基礎年金、夫は老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取れます。
 
しかし、老齢基礎年金は満額でも約7万円(令和6年度)のため、夫が亡くなると生活は苦しくなりそうです。この場合は遺族年金を受け取れるそうですが、いくら受け取れるのでしょうか?
 
本記事では、老齢厚生年金を受け取っていた夫が亡くなった場合、妻は自身の老齢基礎年金に加えていくらの遺族年金を受け取れるのかについて解説します。
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遺族厚生年金が受け取れる

はじめに、遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。
 
遺族基礎年金の受給対象者は「子のある配偶者」と「子」です。この場合の「子」とは、18歳になった年度の3月31日までの子、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の子をいいます。
 
事例の場合は70歳の夫婦で、子は成人しているものとして話を進めます。そのため、遺族基礎年金の受給対象者ではありません。
 
次に遺族厚生年金の受給対象者は、「子のある配偶者」「子」「子のない配偶者」「父母」「孫」「祖父母」です。
 
「老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき」という遺族厚生年金の受給要件を満たす本事例で、妻は「子のない配偶者」として認められるため、遺族厚生年金の受給対象者となります。
 

夫の年金が15万円だった場合の遺族年金の金額

遺族厚生年金は亡くなった人の報酬比例部分の4分の3です。
 
ここでは夫が受け取っていた15万円の年金のうち、老齢基礎年金を6万円、報酬比例部分である老齢厚生年金を9万円として計算していきます。
 
老齢厚生年金を9万円とすると、報酬比例部分の4分の3なので遺族厚生年金は月額で6万7500円です。年額にすると81万円となります。
 
なお、老齢厚生年金は報酬比例部分以外にも経過的加算、加給年金で構成されていますが、今回は簡易的に老齢厚生年金=報酬比例部分として計算しています。
 

妻の老齢基礎年金と遺族年金を合わせると年額153万円

妻の老齢基礎年金の満額となる月6万8000円を受給しているとすると、遺族厚生年金6万7500円を合わせて、月に13万5500円を受け取れます。年額に換算すると162万6000円です。夫が亡くなる前は夫婦で月額21万8000円の年金収入があったので、8万2500円も収入が減ってしまいます。
 
夫婦2人から妻1人の生活になればそのぶん支出も減りますが、平均的な支出を考えると楽観視はできないといえるでしょう。総務省の調査によると、2023年の高齢者の単身無職世帯の支出は、非消費支出もあわせ平均で月15万7673円なので、毎月約2万2000円足りません。支出は家庭によって変わりますが、生活費の見直しも考えるべきでしょう。
 
そのため、貯蓄を取り崩していくか、働くことも考える必要があります。
 

万が一に備えて家族間で相談しておきましょう

大切な家族を失うことは悲しいことですが、のこされた家族はその後も生活が続きます。特に年金生活をしている夫婦は年金額が減ってしまうので、生活費の見直しも考える必要があるでしょう。そのためにも収入源となる年金額を把握することが大切です。
 
まずは年金額がいくらになるのかを確認し、万が一に備えることも必要でしょう。そのために、家族間で相談することをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
総務省 家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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