更新日: 2024.05.08 その他年金

夫は「月15万円」の年金を受け取っています。万が一の場合、妻の私は「遺族年金」をいくら受け取れるのでしょうか? 現在65歳です

夫は「月15万円」の年金を受け取っています。万が一の場合、妻の私は「遺族年金」をいくら受け取れるのでしょうか? 現在65歳です
65歳を迎えると、年金を受け取っている人も多いのではないでしょうか。もし夫婦のうち夫がなくなった場合、妻はいくら遺族年金を受け取れるのでしょうか?
 
本記事では、夫婦ともに65歳で年金を「毎月15万円」受け取っているケースを基に、遺族年金の支給額や受け取れる条件、注意点などを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

遺族年金(基礎年金・厚生年金)をもらえる条件・対象者とは?

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。遺族基礎年金とは、老齢基礎年金の被保険者である人に生計を維持されていた遺族が受け取れるものです。また遺族厚生年金とは、厚生年金の被保険者である人に生計を維持されていた遺族が受け取れます。それぞれの受け取れる額は、亡くなった人が生前にいくら納付していたか、受け取る側の状況などにより変わります。
 
遺族年金をいくら受け取れるかの前に、まずはもらえる条件や対象者を理解しておきましょう。以下で遺族基礎年金と遺族厚生年金に分けて紹介します。
 

遺族基礎年金をもらえる条件・対象者

遺族基礎年金を受け取るには、亡くなった人が、下記のどれか1つの条件を満たす必要があります。

(1)国民年金の被保険者である間に死亡したとき
(2)国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に住所を有していた人が死亡したとき
(3)老齢基礎年金の受給権者であった人が死亡したとき
(4)老齢基礎年金の受給資格を満たした人が死亡したとき

※(1)(2)の場合、亡くなる前日までに、保険料の納付済期間(免除期間も含む)が、国民年金に加入していた期間の3分の2以上あることが必要。ただし、亡くなった日が2026年3月31日までの場合、死亡した人が65歳未満なら、死亡日を含む月の前々月までの直近1年間で未納がなければよい。
 
※(3)(4)の場合、保険料を納付した期間(免除期間も含む)と、合算対象期間が合わせて25年以上あることが条件。
 
受給対象者は、亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」と「子」です。子とは18歳になった年度の3月31日まで、もしくは障害等級1、2級にある状態の20歳未満の人を指します。なお、生計を共にしていれば、別居していても構いません。また、離れて暮らしている子どもに仕送りをしている場合や、健康保険の扶養親族であることが認められれば対象になります。
 

遺族厚生年金をもらえる条件・対象者

遺族厚生年金を受け取るには、亡くなった人が、下記条件のうち1つ以上に当てはまる必要があります。

(1)厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
(2)厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
(3)1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている人が死亡したとき
(4)老齢厚生年金の受給権者であった人が死亡したとき
(5)老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡したとき

※(1)(2)の場合、亡くなった前日までに、保険料の納付済期間(免除期間も含む)が、国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要。ただし、亡くなった日が2026年3月31日までなら、死亡した人が65歳未満であれば、死亡日を含む前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい。
※(4)(5)の場合、保険料を納付した期間(免除期間も含む)と、合算対象期間が合わせて25年以上あることが条件
 
受給対象者は、亡くなった人に生計を維持されていた遺族のうち、下記の順に受け取ることが可能です。

(1)子のある配偶者
(2)子(18歳になった年度の3月31日まで、もしくは障害等級1、2級にある状態の20歳未満の人)
(3)子のない配偶者(30歳未満の妻は5年間のみ)
(4)父母(55歳以上の人のみ)
(5)孫(18歳になった年度の3月31日まで、もしくは障害等級1、2級にある状態の20歳未満の人)
(6)祖父母(55歳以上の人のみ)

本記事のケースでは、「子のない配偶者」に該当します。
 

実際に受け取れる遺族年金はいくら?

では実際に、遺族年金はいくら受け取れるのでしょうか。本記事では、夫婦ともに65歳で子どもはすでに独立している家庭において、夫が亡くなった場合に妻が受け取れる遺族年金額を試算します。
 
今回のケースでは、子どもはすでに条件から外れているため遺族基礎年金は受け取れません。遺族厚生年金の場合、受け取れる遺族厚生年金の額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
 
報酬比例部分とは現役時代の報酬に応じて算出され、今回のケースでは、夫の年金が毎月15万円のことから15万円×3/4=11万2500円です。つまり、仮に夫が亡くなった場合、妻は「11万2500円」の遺族厚生年金が受け取れます。
 

自分も老齢厚生年金の受給者の場合、遺族厚生年金の受給額は減る

遺族年金を受給する65歳以上の人が、自分も厚生年金を受け取る場合、遺族厚生年金が全額もらえなくなるため注意が必要です遺族厚生年金の支給額は、老齢厚生年金を差し引いた額が支給されます。
 
例えば、遺族厚生年金額が11万2500円で、老齢厚生年金額が「5万円」の場合、11万2500円-5万円=6万2500円の遺族年金が受け取れます。
 

受け取れる遺族年金の額は状況に応じて変わる

老後の生活のために、年金を頼りにしている人もいらっしゃるでしょう。該当する子どもがいない場合、遺族基礎年金は受給できません。一方で、遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3の額を受け取れますが、自分も厚生年金を受け取る場合は、老齢厚生年金額を差し引いた額が支給されます。
 
万が一のときに備えて、この機会に自身の遺族年金はいくら受け取れるか調べておくのも良いかもしれません。
 

出典

日本年金機構 遺族年金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集