更新日: 2024.05.13 国民年金

「年金未納」は、年収が低ければ「差し押さえ」にはならないですか? 数年払えておらず、今はようやく月収20万円になりました…

「年金未納」は、年収が低ければ「差し押さえ」にはならないですか? 数年払えておらず、今はようやく月収20万円になりました…
個人事業主やフリーランスの人は国民年金に加入します。年収にかかわらず保険料は一律ですが、もし国民年金保険料をきちんと納付できなければどうなってしまうのでしょうか。すでに未納分があり、財産が差し押さえになってしまうのだろうかと不安に思っている人もいるかもしれません。
 
本記事では、国民年金を未納にした場合にどのような影響が出てしまうか、また万一に払えなくなった際の対策について解説します。
辻本剛士

執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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年金が未納だとどうなる?

国民年金は、被保険者の収入にかかわらず一律で保険料が決まっており、年収が低い場合は保険料の納付が困難になってしまう場合もあるかもしれません。もし、年金が未納になっている場合は次のような影響がでてきます。
 

将来の年金受給額が減る

国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する年金制度です。毎月1万6980円(2024年度)の保険料を納付し、40年間(480月)納付することで満額の年81万6000円を受給できます。
 
この国民年金ですが、保険料の未納期間などがあればその分だけ将来受け取れる年金額が減ってしまいます。例えば、20歳から60歳までの480ヵ月のうち36ヵ月の未納期間があった場合の受給額は次のとおりです。
 
81万6000円×(444ヵ月÷480月)=75万4800円(年間)
 
このように、未納期間があると将来受け取れる年金額に影響が出てしまいます。
 
また、国民年金は10年以上の加入期間がないと受給資格が与えられず、将来年金を受け取れなくなってしまう点にも注意が必要です。そのため、安定した老後生活を送るためにもなるべく保険料を納付しておきたいところです。
 

遺族年金や障害年金が受け取れない場合がある

国民年金に加入している人が亡くなったり、障害認定を受けたりした際に一定条件を満たすことで「遺族年金」や「障害年金」を受け取れます。しかし、国民年金の未納期間があるとこれらの年金を受給できない可能性があるのです。
 
例えば、遺族基礎年金の場合は、子のある配偶者または子など受給対象者には81万6000円+子の加算分(年間)が遺族に支給されます。一方の障害基礎年金の場合、仮に障害等級が1級に該当すれば、102万円+子の加算分(年間)が支給されます。
 
国民年金が未納だと、最悪のケースではこれらの年金を受給できなくなり、遺族や共に暮らす家族の経済的負担を増大させてしまう恐れがあるのです。
 

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差し押さえの可能性もある

国民年金への加入と保険料の納付は国民の義務です。そのため、長期間滞納が続けば自身の保有している資産が差し押さえになる可能性があります。対象となる資産は主に次のとおりです。

●不動産
●車
●有価証券
●預金

もちろん、未納してすぐに差し押さえられるわけではありません。まず未納期間が長期に及ぶと電話や書面による催告が行われ、その後、最終催告状が送付されます。これを受けてもなお未納が続く場合に差し押さえが実行されます。
 

万が一払えない場合でも、免除や猶予申請ができる

前述のとおり、保険料の未納か続く場合は自身の資産を差し押さえられてしまう可能性があります。しかし、収入が低く保険料を納付することが困難な場合などは、次のような措置が設けられています。

●保険料の免除制度
●保険料の納付猶予制度

「保険料の免除制度」は、収入が一定以下の場合が対象となり、年金事務所などに申請することで保険料が猶予されます。その期間は全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除のいずれかが認められます。
 
「保険料の納付猶予制度」は、50歳未満の人が保険料の納付が困難な場合、年金事務所などに申請することで、承認された期間の保険料の支払いを猶予できる制度です。そして、収入が安定した際に、10年以内であれば後から追納という形で保険料を納付できます。
 
これらの制度を活用することで、国民年金の受給資格を維持しながら保険料負担を軽減できます。ただし、免除期間や追納しなかった猶予期間は満額支給の対象とはならず、将来受け取れる年金額が減ってしまうことを十分理解しておく必要があるでしょう。
 

保険料負担が厳しい場合は早めに年金事務所に相談しよう

国民年金保険料の納付は国民の義務であり、未納が長期間続いてしまうと差し押さえのリスクが生じます。もし、収入が下がってしまったなど理由があって納付が困難な場合は、「保険料の免除制度」や「保険料の納付猶予制度」を活用し、国民年金の受給資格を維持しながら保険料負担を軽減するよう努めることです。
 
これらの制度は申請が必要なため、もし、納付が厳しい場合はすぐに年金事務所に相談し、適切な手続きを行いましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料 納付のご案内 – 日本年金機構
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 国民年金保険料の納付が困難な方へ
 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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