更新日: 2024.05.31 その他年金

年金月額「15万円」だった夫に先立たれた妻の「遺族年金」はいくら?

年金月額「15万円」だった夫に先立たれた妻の「遺族年金」はいくら?
年金を受給していた夫に生計を維持されていた妻は、夫に先立だれた場合、遺族年金をどれくらい受け取れるのでしょうか。万が一のことを考える妻にとっては、気になる事柄でしょう。
 
そこで、夫の年金が月額換算で15万円であることを想定し、残された妻がどれくらい遺族年金を受け取れるか、考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

妻は遺族年金を受け取ることができる

年金月額が15万円ということは、国民年金満額の支給額を上回っています。つまり、夫は厚生年金に加入しているはずです。厚生年金に加入している夫に生計を維持されていた妻は、夫が亡くなった際に遺族厚生年金を受け取ることができます。
 
その際の年金額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。報酬比例部分はおおむね老齢厚生年金の額だと考えてよいでしょう。つまり、亡くなった方が受け取っていた老齢厚生年金の額の4分の3を遺族年金として受け取ることができる、というわけです。
 
仮に年金月額15万円のうち、6万円が国民年金、9万円が老齢厚生年金だとすると、9万円の4分の3に当たる6万7500円が遺族厚生年金になる、というイメージです。
 
とはいえ、遺族厚生年金の正確な受給額を計算しようとすると、個別の事情を加味して計算していくことが必要になります。中高齢寡婦加算など、年齢によっては年金額が加算されることもありますので、注意してください。
 
また、遺族厚生年金を受け取るには、「年金請求書」を最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターへ提出することが必要になります。詳細については、最寄りの年金事務所などへ相談するようにしてください。
 

自身が老齢厚生年金を受け取っている場合、遺族年金が減額されることも

平成19年4月1日、自分自身が納めた保険料を年金額に反映させるよう、年金制度が改正されました。具体的には、65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受けられる場合、老齢厚生年金が全額支給されることとなり、遺族厚生年金のうち老齢厚生年金に相当する額は、支給が停止されます。
 
例えば、自身の老齢厚生年金が2万円、遺族年金が6万円という場合、遺族年金のうち、老齢厚生年金の相当額である2万円は支給停止され、4万円が支給されるのです。
 

そもそも受け取れない可能性もある

そもそもの話になってしまいますが、夫が月額15万円の年金を受け取っていても、妻は遺族厚生年金を受け取ることができない場合があります。それは、妻の年収が850万円以上(所得が655万5000円以上)である場合です。その場合は収入要件を満たさず、遺族厚生年金を受け取ることができません。
 
遺族厚生年金は、亡くなった方と生計を一にしていた方の生活を守るためのものです。自身だけでも十分な収入を有しており、今後も生きていけると見込まれる場合は、その保障の対象外になるというイメージです。
 
とはいえ、「年収850万円以上」は一般的に「高収入」と考えられることが多く、そこまでの収入を得られる方は稀です。その点を踏まえると、収入要件について過度に気にする必要はないでしょう。
 

まとめ

月額15万円の年金を受けている夫が亡くなったとき、妻は「年収850万円以上」などという限定的な場合でない限り、遺族厚生年金を受け取ることができます。加算などを除いたとすると、受給額は6万7500円程度と想定できます。
 
遺族年金は複雑な制度です。今回紹介した部分以外にも、詳細に知っておくべき事項や、勘違いしやすい部分もあります。
 
遺族年金について気になるのであれば、最寄りの年金事務所などへ、一度相談してみてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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