年金が少ないので働かなくてはなりません。収入が多いと年金が減らされるって本当ですか?
配信日: 2024.06.09
本記事では、働きながら年金を受け取る場合の収入と年金の関係について、詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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収入が多いと年金が減らされる
60歳以降も働いて厚生年金保険に加入し、給与収入(総報酬月額相当額)と年金月額の合計額が一定額を超えた場合、年金が調整される制度を「在職老齢年金」と呼びます。
この在職老齢年金制度は、年金を受け取りながら働く人々が一定の収入を超えると、受け取れる年金が減額されるという仕組みです。具体的には、年齢によって基準額が異なり、その基準額を超えると年金が減額されます。
また、70歳以降も老齢厚生年金を受けている人が在職して厚生年金保険の被保険者である場合、給与収入に応じて[老齢厚生年金と給与の合計が月50万円(令和6年度)を超える場合]年金の一部または全額が支給停止(減額)となる可能性があります。
このように、年金を受け取りながら働く場合は、収入の総額によって年金が減額される可能性があることを理解しておくことが重要です。次に、具体例を見ていきましょう。
給与25万円(月額)、賞与30万円(年間)、老齢厚生年金10万円(月額)、老齢基礎年金6万円(月額)の場合
給与:25万円(月額)
賞与:30万円(年間)
老齢厚生年金:10万円(月額)
老齢基礎年金:6万円(月額)
給与と賞与を合計した月額は次のように計算されます。
・賞与の月額換算:30万円 ÷ 12 = 2万5000円
・総報酬月額相当額:25万円 + 2万5000円 = 27万5000円
さらに老齢厚生年金10万円を加えると、月額の合計は37万5000円となります。支給停止調整額の50万円以下のため、年金は全額受給できます。
給与40万円(月額)、賞与120万円(年間)、老齢厚生年金14万円(月額)、老齢基礎年金6万円(月額)の場合
給与:40万円(月額)
賞与:120万円(年間)
老齢厚生年金:14万円(月額)
老齢基礎年金:6万円(月額)
給与と賞与を合計した月額は、次のように計算されます。
・賞与の月額換算:120万円 ÷ 12 = 10万円
・総報酬月額相当額:40万円 + 10万円 = 50万円
さらに老齢厚生年金14万円を加えると、月額の合計は64万円となり、支給停止調整額の50万円を14万円超えています。このため、超過分(14万円)の2分の1である7万円が支給停止となり、月額換算では70万円だった月収は63万円に下がります。
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厚生年金保険への加入を続けることで、将来的に受け取る年金額が増える可能性がある
厚生年金保険に加入を続けることで、受け取る年金額は増えます。具体的には、老齢年金の受給権発生後も70歳まで厚生年金保険に加入することができ、その加入期間は「在職定時改定」「退職改定」により年金額の計算の基礎となる被保険者期間に追加されます。
在職定時改定という制度により、毎年基準日(9月1日)に厚生年金保険に加入中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給権者について、前年9月から当年8月までの厚生年金保険加入期間を反映して、年金額が毎年10月分(12月受け取り分)から改定されるのです。
年金受給額を減らさずに老後の生活費を稼ぐ方法
ここでは、年金受給額を減らさずに老後の生活費を稼ぐ方法を紹介しましょう。
・年金受給開始年齢を遅らせる
65歳からではなく、66歳以降に受給開始年齢を遅らせることで、受け取れる年金額を増やすことができます。
・一定額以下の収入で働く
年金と合わせた収入が一定額以下であれば、年金が減額されることはありません。
・厚生年金に加入しない仕事を選ぶ
厚生年金に加入しない仕事であれば、働いたとしても年金受給額に影響はありません。ただし、厚生年金に加入しない場合には国民健康保険に入る必要があります。扶養している家族分の国民健康保険を必要とする場合は、保険料のほうが高くなってしまう可能性があります。
年金が減らないケースもある
老後の生活費を賄うためには、年金だけでは不十分な場合があり、追加の収入を得るために働く必要があるかもしれません。ただし、一定以上の収入を得ることで、老齢厚生年金の支給が一部または全額が停止になるケースがあります。一方、年金が減らないケースもあるので、老後の生活設計において年金と収入のバランスを考えることは重要です。
上記の情報に加え、年金事務所の相談窓口などを活用して、自分に合った働き方や収入の調整方法を検討することをおすすめします。
出典
日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー