更新日: 2019.07.04 iDeCo(確定拠出年金)

老後のお金、どうやって作る?個人事業主こそiDeCoが必要な理由とは

老後のお金、どうやって作る?個人事業主こそiDeCoが必要な理由とは
2018年8月、iDeCoの加入者が100万人を超えました。加入者の8割が会社員や公務員だそうです。個人事業主の加入者は約1割。しかし、個人事業主こそiDeCoが必要な職業なのです。
 

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前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

https://www.andasset.net/

個人事業主にiDeCoが必要な理由とは?

会社員や公務員の年金は2階建てです。国民年金に加え、厚生年金が上乗せされています。さらに退職金制度や企業年金制度が導入されている会社もあり、年金制度は手厚くなっています。
 
一方、個人事業主は会社員や公務員ほど年金は手厚くありません。公的年金は1階部分の国民年金のみです。国民年金の上乗せ制度として国民年金基金があるものの、加入員は毎年減少傾向であり、終身年金であること以外、大きな魅力は感じられません。
 
また、2年でモトが取れると言われる付加保険料は、制度自体は魅力的ですが、金額が少ないのが難点です。40年付加保険料を納めたとしても、年金額は満額で96,000円にしかなりません。
 
そこで、活用したいのがiDeCoです。iDeCoで積み立てることで、年金を増やすことができます。また、国民年金基金や付加保険料同様、iDeCoも掛け金を所得控除できますから、税の軽減効果もあります。
 
個人事業主の方は、税への意識が高い方が多いので、iDeCoは魅力のある制度ではないでしょうか。
 

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個人事業主の年金額

個人事業主が老後に支給される年金は老齢基礎年金です。平成30年の老齢基礎年金額は、約78万円、1ヶ月あたり6万5千円です。これは、会社員経験がない個人事業主の方の年金額です。
 
しかし、会社員を経て独立し、個人事業主になった方も多いことでしょう。そこで、会社員経験がある個人事業主の年金を計算してみました。
 
大学卒業後、会社員として15年間働き、その後、独立。会社員時代の平均年収を300万円とします。すると、年間約25万円が老齢厚生年金として基礎年金に上乗せされます。月額の年金額は8万5千円に増えました。
 
とはいえ、2017年総務省家計調査によると、老後の生活費は夫婦二人世帯で約26万円、単身世帯で約15万円ですから、8万5千円ではとうてい生活できそうにありません。
 

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個人事業主が老後を乗り切る方法とは?

個人事業主は定年がありませんから、老後を乗り切るためには、できるだけ長く働くことでしょう。実際、2014年の中小企業白書によると、個人事業主の年齢層は60歳以上の割合が高く、70歳以上の年齢層が占める割合は過去と比較して最も高くなっています。
 
では、69 歳まで働き、70歳から年金生活に入るとすると、年金はいくらになるでしょうか。65歳から70歳に年金支給時期を繰り下げることで、年金額は42%増加します。すると、8万5千円だった年金は12万円になります。
 
これにあと、いくらあれば生活できそうですか?
 
この不足分はiDeCoで補うことができます。個人事業主であればiDeCoの掛け金上限は、国民年金基金と合わせて6万8千円です。たとえば、40歳の方が60歳まで毎月3万円をiDeCoで拠出し3%で運用できたとすると、20年後は985万円になります。
 
寿命が90歳として、この資産を20年かけて同じく3%の利回りで運用しながら取り崩すとすると、1ヶ月あたりの受け取り金額は、5万5千円です。
 
年金額は、トータル17万5千円になりました。夫婦世帯であればこの金額に配偶者の年金も加わります。生活できるレベルにまで年金は増えたでしょうか?
 
個人事業主は会社員に比べ、公的年金は手薄です。まずはその点を認識しましょう。その上で、早めにiDeCoをはじめて、老後資産形成にとりくむのが、今からできる老後対策といえます。
 
Text:前田 菜緒(まえだ なお)
CFP(R)認定者
 

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