更新日: 2024.07.25 厚生年金
これまで扶養内で「月8万円」稼いでいました。50歳から「月12万円」稼ぐと、年金はいくら増えますか? 手取りを考えると“損”にならないか心配です…
収入が増えれば貯蓄や生活に充てられるお金を増やせることはもちろん、老後に受け取る年金受給額の増加も期待できます。とはいえ、収入が増えてもその分保険料の支払いなどが増え、損なのかもと迷う人もいるかもしれません。
本記事では、扶養内で毎月8万円稼いでいたときと比べ、50歳から60歳まで月12万円稼いだ場合にどれくらい将来の年金受給額が増えるのか、一方でどれくらい支払いが増え、結果的に損なのか、手取りはいくらくらいになるのか解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
扶養内で働いた場合にもらえる年金の金額
会社員の配偶者が扶養内で働く場合は、自分で年金保険料の負担はしていなくても、その期間は保険料納付済期間として将来の老齢基礎年金額に反映されます。
老齢基礎年金の金額は受給資格期間をどれだけ満たしているかで決まりますが、2024年度の満額は年間で81万6000円です。
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50歳から月12万円稼いだ場合に増える年金の金額
パートなどでの収入がある場合、次の条件をすべて満たした場合には自分で厚生年金保険料を支払い、その分老後には老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金が受け取れます。
(1)労働時間が週20時間以上
(2)賃金が月8万8000円以上
(3)雇用期間が2ヶ月を越えて見込まれる
(4)学生ではない
(5)勤務する企業の従業員数が101人以上(2024年10月以降は51人以上)
ここからはこの条件を満たしたうえで、50歳から60歳までの10年間、月12万円稼いだ場合をシミュレーションしていきます。
自分で厚生年金保険料を負担し、将来増額される老齢厚生年金の年額は次の式で計算が可能です。
・平均標準報酬月額×5.481/1000×加入月数
計算式に当てはめると、月収12万円で10年間働いた場合は年間7万7611円です。意外と少ないと思う人もいるかもしれませんが、年金は生きている限り受け取れます。
厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、男性の平均寿命は81歳、女性は87歳です。65歳から毎年7万7611円を平均寿命まで受け取ったとすると、合計で男性は124万1776円、女性は170万7442円です。
こうしてみると、決して少ない金額ではないのではないでしょうか。
50歳から月12万円稼いだ場合に負担する年金保険料の金額
前記した通り、月収が8万円では自分で厚生年金保険料の負担はありませんが、12万円になると他の条件次第では負担しなければなりません。
厚生年金保険料は会社と労働者が半分ずつ負担します。月収が12万円の場合、自分が負担する厚生年金保険料は月額で1万797円ですので、10年間では合計で129万5640円になります。
年金で考えた場合、月8万円から月12万円に増えても女性はお得
今回のシミュレーションでは、収入を扶養内の月8万円から月12万円に増やした場合、平均寿命まで年金を受け取れば、男性は支払った保険料よりも生涯もらえる年金が5万円ほど少なく、若干損といえるかもしれません。一方で女性はもらえる年金の方が40万円程高いので、男性よりもお得といえそうです。
また、年金の良いところは「生きている限りもらえる」という点です。もちろん、早くに亡くなってしまうと損にはなりますが、今は人生100年時代といわれています。収入を増やし年金受給額を増やすことで、長生きの金銭的なリスクに従来よりも備えられるのは心強いでしょう。
所得税や健康保険料なども考慮すると手取りは8割ちょっとくらいになる
ここまでは年金に絞って収入が毎月12万円になった場合の損得を見てきましたが、収入が増えると年金保険料以外にも増える負担があります。
扶養内で月8万円稼いだ場合、所得税や住民税、健康保険の自己負担はありません。しかし、月12万円になると発生してしまいます。月12万円稼いだ場合、大体手取りは8割ちょっとくらいですので、実際に手元に残るお金は10万円前後になります。
扶養から外れる際には、手取りの金額にも注意しましょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー