今払っている「年金保険料」って、自分は老後“もらえない”こともあるんですよね? 毎月給料から「4万円」引かれているので、払わずに自分の貯金にしたいのですが…

配信日: 2024.07.27

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今払っている「年金保険料」って、自分は老後“もらえない”こともあるんですよね? 毎月給料から「4万円」引かれているので、払わずに自分の貯金にしたいのですが…
給与明細で年金保険料を見て、あらためてその金額の多さに驚く人は多いのではないでしょうか。なかには「年金保険料が引かれなければ今もっとお金を使えるのに……」と感じている人もいるでしょう。
 
本記事では、年金保険料を納付する意味と将来のメリットについて解説します。年金保険料を納めることに疑問を抱いている人は、ぜひ参考にしてください。

年金保険料の納付は国民の義務

年金の被保険者は、保険料の納付が義務付けられています。日本国民は20歳になると誰もが国民年金に加入します。加入期間は原則60歳までで、20歳から60歳の期間は保険料を納める義務が発生します。
 
保険料を滞納した場合は、督促が行われます。督促が来てもなお保険料を納めなかった場合、差押えなどの処分が課されます。年金保険料は税金と同様、必ず期日までに納めてください。
 

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年金は「老後の備え」だけではない

「年金」と聞くと、支払えば老後にお金をもらえるというイメージを持つ人が多いかと思いますが、年金保険料は、老後の備えのためだけに支払うものではありません。公的年金には、次の3種類があります。
 

・老齢年金
・障害年金
・遺族年金

 
多くの人がイメージする65歳以上になると受け取れる年金は「老齢年金」というものです。老齢年金は基礎年金と厚生年金に分かれ、65歳になった時点で受け取りを開始できます。その後は自分が亡くなるまで、一生涯受け取り可能です。
 
このほかに、医師の診断により障がいが所定の等級に該当する場合は「障害年金」が支給されます。障害年金も基礎年金と厚生年金に分かれます。障害基礎年金の場合、2024年度の受給額は1級の場合が「102万円+子の加算額」、2級が「81万6000円+子の加算額」です。
 
また、自分が年金を受け取る前に亡くなった際は、遺族に遺族年金が支給されます。亡くなった人が国民年金の加入者であれば、18歳未満の子どもや子どものいる配偶者に遺族基礎年金として2024年度は「81万6000円+子の加算額」が支給されます。
 
また、亡くなった人が厚生年金の加入者であれば、遺族に遺族厚生年金が支払われます。支給額は「亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分※)の4分の3」です。
 
※報酬比例部分:厚生年金の受給額の目安となる金額。給与・賞与額や厚生年金への加入期間によって決まる。
 
よって、年金保険料を納めることは「もしもに備える」ことにつながるのです。自分が障害を抱えた際や突然の事故で亡くなった際も、年金保険料を支払っていればある程度の収入を確保できたり、家族に残したりできます。年金はライフプランの実現に必要であると同時に、ライフプランが崩れたときの支援もしてくれる有用な制度といえるでしょう。
 

年金保険料が増えている理由

年金保険料は、年度によって増減することはあるものの、徐々に引き上げられており、現役世代にとっては大きな負担となっています。年金保険料が増えている理由は、物価の上昇です。
 
国民年金額は、経済情勢を鑑みて毎年度金額が改定されています。改定の主な根拠は「物価変動率」「名目手取り賃金変動率」です。年金額は物価や賃金の動きを根拠に「マクロ経済スライド」での調整を加えて決定されています。物価や賃金が上がれば、その分年金額が増え、年金原資となる保険料も増加します。
 
現在は、まだ物価上昇に賃金の伸びが追いついていません。そのため、年金保険料の負担だけが増えているように見えるのです。賃金の伸びが物価上昇を上回れば、年金保険料の金額は適正化していくでしょう。
 

未来の自分が後悔しないよう年金保険料は必ず納めて

年金保険料を納めることは、将来の自分に保険をかけるようなものです。もしものときに備えがなければ、自身や家族の生活は大きく変わってしまう可能性があります。将来の自分が困らないよう、年金保険料は必ず納めるようにしてください。
 

出典

日本年金機構 国民年金制度の基本的事項~適用・保険料編~
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 2.7%の引上げです~
 
執筆者:石上ユウキ
FP2級、AFP

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