更新日: 2024.07.27 厚生年金

年の差夫婦がもらえる「加給年金」って廃止されたんですか? 年金の「扶養手当」と聞いていたのですが、年間でいくら支給されるものでしょうか?

年の差夫婦がもらえる「加給年金」って廃止されたんですか? 年金の「扶養手当」と聞いていたのですが、年間でいくら支給されるものでしょうか?
「加給年金」という制度をご存じでしょうか?
 
イメージとしては、夫が65歳になり厚生年金受給開始タイミングになった時に、妻が65歳未満であった場合、妻が65歳になるまで一定の金額が上乗せされる仕組みです(条件を満たせば夫婦が逆でも適用されます)。
 
最近、「加給年金は廃止されたのか」という質問をよく見かけます。結論から言えば、加給年金は廃止されていません。しかし、2022年4月から加給年金の支給停止規定が見直されました。その結果、加給年金自体が廃止されたと勘違いしている人がいるようです。
 
加給年金にはほかにも注意する点があるので、本記事で簡単に解説していきます。
御手洗康之

執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)

CFP、行政書士

加給年金は条件を満たせば年間およそ40万円支給される

まず、加給年金について簡単に説明します。加給年金は、年金の扶養手当のようなものです。65歳を迎え、年金受給を開始する時に妻や子どもを扶養している場合、経済的な負担が大きくなるため、その負担を軽減する役割があります。
 
金額は条件によって若干変わりますが、図表1のとおり、配偶者の場合は年間およそ40万円(特別加算額を含む)、子どもは2人目までは年間約23万円、3人目からは年間約8万円が支給されます。
 
図表1

図表1

日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
受給条件は、厚生年金被保険者期間が20年以上ある人が65歳になった時に、生計を共にしている配偶者(65歳未満)や子ども(18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害状態にある20歳未満の子)がいることです。そのため、配偶者や子どもが一定の年齢を超えると、加給年金は停止されます。
 

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2022年4月からの加給年金停止の規定見直し

2022年4月から加給年金の支給停止規定が見直されました。日本年金機構が発表している内容が図表2です。
 
この内容は分かりにくいかもしれませんが、簡単に説明すると、配偶者が20年以上厚生年金の被保険者期間がある場合、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢から加給年金は支給されなくなるということです。ただし、2022年4月時点ですでに加給年金を受給している場合は影響ありません。
 
図表2

図表2

日本年金機構 令和4年4月から加給年金の支給停止の規定が見直されました
 
特別支給の老齢厚生年金には、年金受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことによる段階的な移行措置の意味合いがあり、年齢によって徐々に受給開始年齢が引き上げられています。
 
特別支給の老齢厚生年金制度の詳細な説明は割愛しますが、結果として次の2点に該当する場合には、加給年金が支給停止される可能性があるので注意が必要です。
 

・配偶者の厚生年金被保険期間が20年以上である
・配偶者の生年月日が男性なら昭和36年4月1日以前、女性なら昭和41年4月1日以前である(特別支給の老齢厚生年金部分が発生する可能性がある)

 

加給年金の注意点

近年、年金の繰下げ受給で年金額を増やす人が増えてきています。ただし、年金の繰下げ受給をした場合、繰下げ期間中は加給年金がもらえなくなるので注意が必要です。
 
また、加給年金を受けるには手続きが必要です。条件を満たしたら忘れずに申請するようにしましょう。
 

不安な人は年金事務所などに相談しましょう

年金制度は非常に複雑なので、必要になってから自身で全てを調べるのは難しいのではと思われます。本記事で紹介した加給年金にも、さらに細かい支給条件があります。その一方で、支給には手続きをしなければならないものもあり、場合によっては受給できる金額が100万円単位で変わることも珍しくありません。
 
そのため、自身のケースで不安や疑問がある場合は、早い段階で年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されました
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
 
執筆者:御手洗康之
CFP、行政書士

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