更新日: 2024.08.23 その他年金

父の死後、子どもは「未支給年金」を受け取れる? 口座が“凍結”されていても大丈夫なの? 注意点もあわせて解説

父の死後、子どもは「未支給年金」を受け取れる? 口座が“凍結”されていても大丈夫なの? 注意点もあわせて解説
親が亡くなると、悲しみに浸る間もなく、葬儀などに加えてさまざまな手続きが必要になってきます。その中でお金に関するものでは、親が年金を受給していれば「未支給年金」に関する申請も必要になります。
 
ただ、年金は親がもらっていたものなので、遺族の認識が薄く手続きを忘れることもありがちです。また、年金が振り込まれていた親の口座が凍結されると、どのように手続きすればいいのかわからないことも多いのではないでしょうか。
 
本記事では、年金を受給していた父親が亡くなったときに、子どもが未支給年金を受け取れるケースを説明し、あわせて父親の口座が凍結された場合にどうなるのかも解説しますので、参考にしてください。

未支給年金とは?

未支給年金とは、亡くなった人が受け取る権利があった年金で、まだ支給されていない年金のことです。年金は受給者の亡くなった月の分まで支給されることと、支払いが2ヶ月に1度の後払いであることによって、年金を受給していた人が亡くなると、必ず未支給年金が発生します。
 
年金は年6回の偶数月の15日が支給日です。例えば8月15日は6月と7月分の年金が支給されます。そのため、発生する未支給年金は年金受給者が亡くなるタイミングで変わり、図表1のとおり3パターンに分けられます。
 
図表1


受給可能な未支給年金の月数 筆者作成
 
つまり、未支給年金は亡くなった人の「最後の年金」を、遺族が代わりに受け取ることであり、受給可能な月数は1ヶ月から最大でも3ヶ月です。
 

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父の死後、子どもは未支給年金を受け取れるのか?

父の死後、子どもは未支給年金を受け取ることが可能なのでしょうか?
 
未支給年金を受け取れる遺族は、年金を受けていた人が亡くなった当時、その人と生計を同じくしていた3親等内の親族です。優先順位は配偶者が1位で、子どもは2位となっているため、亡くなった人に配偶者がいない場合に限り、子どもが未支給年金を受け取れます。
 

亡くなった親の口座がすぐに凍結された場合、未支給年金は受け取れるのか?

銀行に口座名義人である親が亡くなったことを連絡すると、口座は凍結され取引できなくなり、それ以降に年金が振り込まれることはありません。振り込まれるはずだった年金は「未支給年金」となるため、子どもなどの遺族が未支給年金を請求し、請求者の口座で受け取れます。
 
ここで問題になるのは、むしろ口座凍結の手続きが遅れたときです。例えば、銀行への連絡が遅れ、口座の取引が継続されていれば、故人の口座に年金が振り込まれ、その後、口座が凍結された場合は、相続処理が終わらないと未支給年金分も含め預金は引き出せません。
 
さらに、日本年金機構にマイナンバーを収録していない人が亡くなった際は、10日以内に「受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要です。提出が遅れれば、多くもらい過ぎて返還が生じる可能性がありますので早めに手続きを済ませましょう。
 

未支給年金の受給に必要な書類やその他の注意点

未支給年金の請求には「未支給年金・未支払給付金請求書」の提出が必要です。添付が必要な書類は次のとおりですが、不明な点は年金事務所に確認の上、手続きを進めましょう。


・亡くなった人の年金証書
・戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し等
・亡くなった人の住民票の除票および請求する人の世帯全員の住民票の写し
・受け取りを希望する金融機関の通帳
・生計同一関係に関する申立書(亡くなった人と請求者が別世帯の場合)

子どもが受け取る場合も「生計を同じくしていた」ことは必要ですが、子どもが婚姻すると、世帯は親と別になるケースも多いでしょう。その際は定期的に経済的な援助や訪問していることなどを申立書に記入し、第三者に証明してもらえれば受給可能です。
 
また、未支給年金は請求しないまま5年が経過すると時効となってしまい、請求できなくなるため、早めの手続きが大切です。さらに未支給年金は元々亡くなった人の年金であるため、相続財産と考えがちですが、税法上は相続ではなく、受け取った人の一時所得に該当します。そのため、確定申告が必要な場合もありますので注意しましょう。
 

まとめ

未支給年金は遺族年金などと違い、もともとは亡くなった人に受給権がある年金のため、請求するのを忘れがちです。
 
しかし、亡くなった人の「最後の年金」であり、親の最後の遺産ともいえます。未支給年金の請求には時効がありますので、早めに手続きを心がけ、確実に受け取りましょう。
 

出典

日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
 
執筆者:松尾知真
FP2級

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