【遺族年金】ずっと家業を継いで頑張ってきた夫にもしものことがあったとき、私は「遺族年金」をどのくらい受け取れますか?
配信日: 2024.08.27
本記事では、自営業の方が亡くなったときの遺族年金について解説するとともに、社会保険以外で役立つ制度についても紹介します。ご主人が亡くなった場合の生活資金に不安のある方だけでなく、老後資金が心配という方にも参考になると思いますので、ぜひ最後までお読みください。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
子がいれば遺族基礎年金を105万円は受け取れる
自営業の方の場合、加入している年金は国民年金のみであり、厚生年金保険には加入していません。したがって、自営業の方にもしものことがあったとき、受け取れる可能性があるのは「遺族基礎年金」のみとなります。
遺族基礎年金が受け取れるのは、死亡した方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。この場合の「子」とは、「18歳になった年度の3月31日までにある方」または「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方」を指します。
つまり、子どもがいない方や子どもがいても「子」の条件に当てはまらない場合は、遺族基礎年金を受け取ることができません。遺族基礎年金の年金額(令和6年4月分から)は、子のある配偶者(昭和31年4月2日以後生まれの方)が受け取る場合、以下のとおりです。
81万6000円+子の加算額
「子の加算額」は、以下のとおりです。
・1人目の子の加算額:23万4800円
・2人目の子の加算額:23万4800円
・3人目以降の子の加算額:各7万8300円
例えば、子が2人いた場合、子のある配偶者が受け取れる遺族基礎年金額は、年128万5600円(=81万6000円+23万4800円+23万4800円)となります。また、子のある配偶者は、最低でも1人は子がいるため、105万800円(=81万6000円+23万4800円)は受け取れると考えられます。
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小規模企業共済やiDeCoからも受け取れる
亡くなった方が小規模企業共済に加入していた場合、配偶者(内縁関係にあった方を含む)は、共済金を一括で受け取ることができます。受け取れる共済金の額は、掛金の納付月数に応じた額(固定額)です。
例えば、掛金月額1万円で加入した方が亡くなったとき、掛金の納付年数が5年なら62万1400円、10年なら129万600円、15年なら201万1000円、20年なら278万6400円となります。
また、亡くなった方が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入していた場合、配偶者(内縁関係にあった方を含む)は、死亡一時金を受け取ることができます。ただし、生前に別途手続きを行って、死亡一時金の受取人を指定していた場合は、指定された人が優先されますので、注意が必要です。受け取れる死亡一時金の額は、運用成績によって異なります。
まとめ
自営業の方(個人事業主)にもしものことがあったとき、配偶者が受け取れる可能性のある遺族年金は、遺族基礎年金です。遺族基礎年金は、死亡した方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。
受け取れる金額は「子」の人数によって異なります。例えば、個人事業主のご主人が亡くなったときに「子」が1人いる場合、遺族基礎年金として105万800円を受け取ることができます(令和6年4月分から)。「子」が2人なら、128万5600円を受け取ることができます。反面、「子」がいない場合は、遺族基礎年金を受け取ることはできません。
遺族基礎年金を受け取れない、または遺族基礎年金の額が不十分だと思われる方は、今のうちから他の手を考えておいたほうがよいでしょう。例えば、小規模企業共済や個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入することが考えられます。
小規模企業共済に加入しておけば、配偶者は、共済金を受け取ることができます。また、iDeCoに加入し、死亡一時金の受取人を配偶者に指定しておけば(あるいは誰も指定しないでおけば)、配偶者は死亡一時金を受け取ることができます。受け取れる金額は、拠出金額や納付期間、運用成績によって異なりますが、遺族基礎年金のような受給要件はありません。
小規模企業共済やiDeCoは、本来的には退職金や年金の役割を担うものです。遺族年金を補完するだけでなく老後資金の準備にもなりますので、まだ加入されていない方は加入を検討してみるのもよいのではないでしょうか。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
独立行政法人中小企業基盤整備機構 共済金等請求・解約
デジタル庁 e-Gov法令検索 小規模企業共済法
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト 加入者の方へ
デジタル庁 e-Gov法令検索 確定拠出年金法
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー