65歳で定年退職するつもりでしたが「再就職」を考えています。70歳まで働くと年金額はどれくらい変わりますか?

配信日: 2024.09.15

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65歳で定年退職するつもりでしたが「再就職」を考えています。70歳まで働くと年金額はどれくらい変わりますか?
老後が近づくにつれ、今回の事例のように、65歳で定年退職をするか65歳以降も働くかで悩む方もいるでしょう。
 
特に、老齢厚生年金の年金額は厚生年金に加入していた間の報酬額や加入期間に応じて変わるため、定年退職後も再雇用や再就職などで働いたときの金額差を知っておくと、リタイアするタイミングを決めやすくなります。
 
今回は、65歳で定年退職したケースと70歳まで働きながら年金を受け取ったケースの年金額についてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

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サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

65歳で定年退職したときと70歳まで働き続けたときの年金はどれくらい変わる?

今回は以下の条件で、65歳で定年退職をするケースと70歳まで働くケースで年金がいくら変わるのかを比較しましょう。
 

・国民年金は全額納付している
・老齢基礎年金額は日本年金機構より、令和6年度分の月額6万8000円とする
・平成15年4月以降に厚生年金へ加入している
・老齢厚生年金額は報酬比例部分と同額とする
・賞与は考慮しない
・月収は25万円、年収は300万円のまま一定
・勤務は22歳からとする
・65歳以降は年金を受け取りながら働いている

 

65歳で定年退職

条件を基にすると、日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)」より、平均標準報酬額は26万円です。同じく日本年金機構によれば、報酬比例部分は「平均標準報酬額×0.005481×厚生年金の加入月数」で求められます。
 
22歳から65歳まで働いていると、厚生年金の加入期間は43年、月数は516ヶ月のため、式に当てはめると「26万円×0.005481×516ヶ月」です。
 
計算すると、老齢厚生年金額は約73万5331円を受け取れます。老齢基礎年金は年額が「6万8000円×12ヶ月」なので81万6000円となり、65歳で退職したときに受給できる年金は合計約155万1331円、月額約12万9278円です。
 

70歳まで勤務

70歳まで勤務すると、厚生年金への加入期間は48年、月数は576ヶ月です。報酬比例部分は「26万円×0.005481×576ヶ月」となるため、老齢厚生年金額は約82万835円を受け取れます。老齢基礎年金と合計すると年間約163万6835円、月額約13万6403円です。
 
65歳で退職したときと比べると、年間で約8万5504円の差があります。
 
日本年金機構によると、働きながら年金を受給するときは、毎年老齢厚生年金額が見直され、10月分から改定後の金額を受給可能です。70歳までの老齢厚生年金額は、以下のように変動します。
 

・65歳:約73万5331円
・66歳:約75万2432円
・67歳:約76万9532円
・68歳:約78万6633円
・69歳:約80万3734円
・70歳:約82万835円

 
なお、毎年改定されるのは65歳以降で働きながら受給しているときです。
 

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65歳以降の収入によっては年金額が調整される可能性も

働きながら年金を受給するとき、老齢厚生年金は「在職老齢年金」と呼ばれ、収入によっては一部または全部が支給停止されるケースがあります。在職老齢年金では、月収と月額の老齢厚生年金額が50万円(令和6年度の支給停止調整額)を超えなければ全額受給が可能です。
 
先ほどの例だと、70歳の時点で老齢厚生年金額は月額約6万8403円、月収は25万円で合計31万8403円なので、老齢厚生年金は全額を受け取れます。50万円を超えていると、超えた金額の半分が支給停止の対象です。
 
なお、実際には賞与の金額も考慮して計算するため、同じ収入でも年金が一部または全部支給停止になる可能性もあります。また、老齢基礎年金は収入にかかわらず全額を受給可能です。
 

65歳で定年退職したときと70歳まで働いたときの年金は年間8万円以上の差が出る場合がある

公的年金のうち老齢厚生年金の年金額は厚生年金に加入していた間の報酬額や加入月数によって決まるため、長く加入して働いている方が受給額も増加します。今回の例だと、年間で8万円以上の差が出る結果でした。
 
そのため、もし老後に安定した収入が欲しい場合は、働きながらの年金受給も選択肢のひとつです。65歳以降も働きながら受給している場合、毎年厚生年金の加入月数に応じて支給額の見直しがされるため、働きながら年金を受け取っていると毎年年金額が増加することになります。
 
ただし、在職老齢年金では、収入と老齢厚生年金の合計額が支給停止調整額を超えていると年金額の一部または全部が支給停止になるので、収入が高い方はどちらがよいかよく考えて決めましょう。
 

出典

日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)
日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
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