更新日: 2024.10.27 その他年金

父が「年金を60歳から繰上げ受給したい」と言っていますが、「長生きすると損」と聞きました。早く受け取れるのは“メリット”ではないのですか? 繰上げ受給の注意点を解説

父が「年金を60歳から繰上げ受給したい」と言っていますが、「長生きすると損」と聞きました。早く受け取れるのは“メリット”ではないのですか? 繰上げ受給の注意点を解説
年金は、原則65歳から受給できます。しかし、ライフプランは人それぞれ。人によっては「もっと早く年金を受け取りたい」という人もいるでしょう。
 
年金は最も早くて60歳から繰り上げて受給することが可能です。この繰上げ受給は、長生きすると損だというのは本当でしょうか? 本記事では、年金を繰上げ受給するメリットやデメリットを解説します。

年金の繰上げ受給は「長生きすると損」?

年金を繰上げ受給した場合、長生きすると損する可能性があります。繰上げ受給は早く受け取れる分、受給額が減るためです。
 
繰上げ受給では、年金額は繰り上げた期間に応じて1ヶ月あたり0.4%、1年では4.8%減額されて支給されます。繰上げ受給は最も早ければ60歳から可能なため、60歳から繰上げ受給すると、通常通り65歳から受給した場合に比べて24%もの年金が減ってしまいます。
 
繰上げ受給による年金減額は生涯続きます。よって、長生きするほど65歳から受給した人との受給額に差が出てしまうのです。
 
例えば、65歳から年間180万円の年金を受け取るとしましょう。60歳から受給した場合は65歳で受給した場合と比べ、年金額が年額43万2000円少なくなります。
 
さらに図表1の通り、80歳のときに繰上げ受給時と通常受給時の年金総受給額が逆転します。よって、繰上げ受給は長生きする人にとっては、損するといえるでしょう。
 
図表1

図表1

日本年金機構 年金の繰上げ受給 を基に筆者作成
 

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年金を繰上げ受給するメリット

年金を繰上げ受給することは、デメリットばかりではありません。主なメリットには次のようなものがあります。


・老後資産に余裕がないときは貴重な収入源になる
・リタイアを早められる
・健康に不安のある場合に医療費などとして使える

年金を繰上げ受給すると、早い段階から年金を受け取れるため、老後資産に余裕がないときは毎月の生活費として貴重な収入源になります。資産が少ないまま老後を迎えてしまい、日々の生活が苦しくなりそうな人は、繰上げ受給を検討してもよいでしょう。
 
また、資産が十分にある人が年金を早めに受給すれば、60歳以降は年金と資産の取り崩しで生活していけるため、リタイアの時期を早められます。年金以外の資産が充実している人は、早期に年金を受け取ることで、日々の生活費には年金以外の資産を充て、年金は余暇を楽しむ費用に充てることができます。
 
万一、年金受給前のタイミングで病気が発覚したり体に異常が見つかったりした場合も、年金の繰上げ受給が役立ちます。年金を早めに受給できれば、医療費の支出に充てられたり、余生を楽しむために使ったりできるでしょう。
 
年金の繰上げ受給は、ライフプランによっては大きなメリットを受けられる制度なのです。
 

年金を繰上げ受給する際の注意点

年金を繰上げ受給する際には、在職老齢年金による年金減額に注意しましょう。在職老齢年金は、70歳未満の人が厚生年金保険に加入して働きながら年金を受給する際、収入が一定額を超えると老齢厚生年金が支給停止となる制度です。
 
年金の支給停止対象となるのは、総報酬月額相当額(給与)と年金の合計額が50万円(2024年度の支給停止調整額)を超える場合です。収入額に応じて年金の全部または一部が支給停止となります。
 
在職老齢年金は、繰上げ受給した年金に対しても適用されます。繰上げ受給と在職老齢年金により、年金が二重に減額される可能性があるのです。収入額が50万円を超えなければ問題ありませんが、繰上げ受給しながら仕事も続けたいと考えている人は、在職老齢年金に注意しましょう。
 

年金の繰上げ受給は自分のライフプランに合わせて

年金の繰上げ受給は、年金が減ってしまうことから一見するとメリットがないと感じる人もいるでしょう。しかし、リタイアの時期や保有資産額など、ライフプランは人によって異なります。
 
現状の生活や老後生活を見据えたときに、できる限り早いタイミングで年金が必要だと感じる場合は、年金の繰上げ受給を検討するとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
 
執筆者:石上ユウキ
FP2級、AFP

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