更新日: 2024.10.28 国民年金
もうすぐ60歳、年金の見込み額は月1万5000円です。65歳まで国民年金の任意加入をしたら年金はどのくらい増えますか?
しかし、もらえるのは月1万5000円ほどです。「任意加入で65歳まで国民年金保険料を払えば、年金額が増えると聞きました。今は保険料も払う余裕もできましたが、任意加入した方がよいでしょうか」と相談がありました。任意加入すると、どのくらい年金を増やせるのかを計算して検討します。
執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。
老齢基礎年金の受給要件と計算方法
老齢基礎年金は、20歳から60歳になるまでの40年間に受給資格期間が10年(120ヶ月)以上あれば、65歳から受け取ることができます。受給資格期間は、保険料を納付した期間のほか、保険料納付を免除された期間や合算対象期間(カラ期間)も含まれます。
カラ期間は、学生納付特例制度で保険料納付の猶予を受けた期間や、20歳から60歳になるまでに海外に居住していた期間などが対象です。なお、カラ期間は受給資格期間には入りますが、年金額の計算には入りません。また、免除を受けた期間も、免除の種類(全額免除、半額免除など)に応じて年金額が減額されます。
老齢基礎年金の年金額は、20歳から60歳の国民年金の保険料納付月数や厚生年金の加入期間などに応じて計算されます。
40年(480ヶ月)ずっと保険料を払った人の年金額が81万3700円(令和6年度額)である場合、保険料納付した期間が10年(120ヶ月)の人なら、
81万3700円 × 120月/480月 = 20万3425円
受け取れる老齢基礎年金は年額20万3425円、月額だと1万6952円です。ただし、免除期間やカラ期間を含めて受給要件10年を満たした人は、それより少ない年金額となってしまうでしょう。
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任意加入で年金額はどのくらい増やせる?
国民年金保険料の納付期間は60歳になるまでですが、保険料を納付した期間が40年に満たないため年金額が満額より少ない場合は、任意加入をして60歳以降も保険料を納め、年金額を満額に近づけることができます。任意加入できる期間は60歳から65歳になるまでで、途中で年金額が満額に達した人はそれ以上保険料を払うことができません。
では、任意加入することでどのくらい年金額を増やせるか計算してみましょう。1年間(12ヶ月)任意加入すると満額(480ヶ月フルに加入)の12/480だけ増えます。
満額を81万3700円とすると、
81万3700円 × 12/480 = 2万343円
1年間の任意加入で、年額2万343円、5年間(60ヶ月)なら年額10万1715円、月額で8476円増えることになります。
公的年金を65歳から90歳まで25年受け取ると考えれば、任意加入によって約250万円も多く受け取れます。国民年金保険料は納付方法によって金額が異なりますが、国民年金保険料を年20万円とすれば5年分で100万円です。であれば、長生きリスクに備えるためにも任意加入しておいたほうが、お得なのではないでしょうか。
付加年金保険料を払えばさらに増える
任意加入で保険料を払っている期間は、付加年金保険料(400円/月)も追加して払うことで、年金額をもう少し増やすことができます。
付加保険料を1年(12ヶ月)払えば2400円、5年(60ヶ月)なら年額で1万2000円の付加年金が上乗せされます。保険料が少額なので、増額分も決して多くありませんが、終身で受け取れる公的年金ですから、任意加入する際は、付加年金保険料も納めるよう手続きしておくのがお勧めです。
まとめ
65歳から受け取れる年金の見込み額が月に約1万5000円のAさんですが、5年間任意加入して、さらに付加保険料も納めていけば、月額で約9500円アップの約2万4500円に増えることが分かりました。老後に年金だけで暮らしていける金額ではありませんが、長生きすることを考えれば少しでも増やしておきたい老後のお守りです。
任意加入は手続きした日からさかのぼって加入することができないので、5年間フルに任意加入できるよう早めに手続きをするとよいでしょう。
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者