定年を控えた50代男性です。収入が増えすぎると年金が半分になるって聞きました。自宅を売って得たお金も対象なのでしょうか?
配信日: 2024.12.24
本記事では、自宅を売却して得た資金が年金支給額に与える影響について解説し、自宅を売却するメリット・デメリットについて紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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在職老齢年金制度とは?
在職老齢年金制度は、60歳以上で老齢厚生年金を受給しながら現役で働き続けている人を対象とした制度です。在職老齢年金制度により、一定以上の収入を得ている場合、受け取っている年金の一部またはすべてが支給停止となる場合があります。老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額(給与など)を合計した金額に応じて、年金の支給額が調整されます。
基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円以下(2024年度)であれば、年金は全額支給の対象です。一方で、合計金額が50万円を超える場合、超過分に対して年金の支給額が一部停止されます。計算方法は、「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2」です。
自宅売却による収入は対象にならない
在職老齢年金の減額対象となるのは、給与や賞与などの労働所得に限定されます。そのため、自宅を売却して得た収入は、年金の支給額に影響を与えることはありません。なぜなら、自宅の売却益は労働に伴う収入ではなく、資産の売却による一時的な収入に該当するためです。
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老後に自宅を売却するメリット
定年を迎える前に自宅を売却すると、まとまった資金が手に入るため、老後の生活にゆとりをもたせられます。子どもが独立して夫婦2人の生活になる場合、広すぎる家をコンパクトな物件に住み替えることで、管理が簡単になり、光熱費などのコストを削減することも可能です。
また、自宅を手放すことで、固定資産税や都市計画税などの税負担から解放されます。特に土地の価値が高いエリアでは、生活に不便を感じる場合でも高額な税金の支払いが必要になることもあり、自宅を手放せば無駄な税金の支出を抑えられるでしょう。
また、定年後は通勤する必要がなくなるため、スーパーや病院、役所などが徒歩圏内にある場所やバリアフリー対応の家に移り住むなど、日常生活を楽にするための選択ができます。
なお、自宅のローンが残っている場合でも、売却代金でローンの完済が可能なケースもあります。住宅ローンの返済負担を軽減すれば、老後はより安心した生活が送れるようになるでしょう。
老後に自宅を売却するデメリット
老後に自宅を売却して新たな住まいに移ると、心理的な負担を大きく感じるケースもあります。長年住み慣れた土地から離れることに対する不安や、地域社会とのつながりが切れることから、孤独感をおぼえる可能性もあります。また、新しい場所での生活になじめず、外出する機会が減ったり、以前とは違って活発に過ごせなくなったりする可能性もゼロではありません。
さらに、転居先での生活が期待していたものにならなかった場合は元の場所に戻ることが難しいため、転居先は慎重に選ぶ必要があります。もし転居を検討する場合は、現状の住まいの近くで物件を探すことを考慮するとよいでしょう。
また、持ち家を売却してマンションなどに住み替えたいと考えても、高齢者は賃貸住宅の審査に通りにくい傾向があるため、選択肢が限られることがあります。収入が低かったり認知症のリスクがあったりする場合、入居の条件を満たすことが難しい可能性があるため、事前に入居先の選定や審査の条件を把握しておくことが大切です。
在職老齢年金制度の対象は給与や賞与
在職老齢年金制度の減額対象となるのは、給与や賞与といった労働所得に限られます。自宅の売却益はその範囲には含まれないため、売却して得たお金が年金額に影響を与えることはありません。
そのため、自宅売却を検討する際には、年金の支給額が減る心配は不要といえるでしょう。老後の生活をゆとりあるものにするためにも、資産の整理や住み替えを前向きに考えることが大切です。
出典
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー