更新日: 2019.06.12 その他年金

日本の年金制度「障害年金の知識は人生のリスク管理につながります」(1)

執筆者 : 蓑田透

日本の年金制度「障害年金の知識は人生のリスク管理につながります」(1)
国民の老後の生活に関係の深い年金。多くの人たちが将来に不安を持つ中、今一度この年金制度について勉強してみましょう。今回は、心身に障害がある場合に支給される障害年金についてのお話です。
 
障害年金制度は、もともと広くPRされてないこともあって認知度も今一つでした。しかし、最近では高齢化やストレス社会による精神疾患を原因とする障害者が増加しており、2017年の利用者は約200万人※1と、年々利用者が増え続けています。
 
そこで今回は、障害年金の対象者、障害の状態や級数、受給額などについて紹介します。
 
なお、障害年金制度の仕組みや手続きはやや複雑です。健康で障害年金を必要としない方は将来のためにお読みいただければよいですが、今現在心身に一定の障害があり、受給の可能性のある方にはとても重要な内容ですので、読んで理解されることをお勧めします。
 

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蓑田透

執筆者:蓑田透(みのだ とおる)

ライフメイツ社会保険労務士事務所代表

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、
社会保険労務士、米国税理士、宅建士
早稲田大学卒業後IT業界に従事していたが、格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。
 

ライフプラン、年金、高齢者向け施策、海外在住日本人向け支援(国内行政手続、日本の老親のケア、帰国時サポートなど)を中心に代行・相談サービスを提供中。

企業向けコンサルティング(起業、働き方改革、コロナ緊急事態の助成金等支援)の実施。

国内外に多数実績をもつ。
コロナ対策助成金支援サイト
海外在住日本人向け支援サイト
障害年金支援サイト

■対象者

障害年金は年金加入者(原則20歳以上)が老齢年金の受給開始年齢(65歳)に達する前や、65歳以降でも老齢年金の受給額が少ない場合などに受給できます。また、年金加入前に障害となった場合でも、厚生年金加入者や一定の条件を満たしていれば受給できます。
 
次回に詳しく説明しますが、普段から年金に加入し、保険料を納付していないと障害を持った際に受給できません。学生など、経済的に保険料を払えない人は保険料納付の免除制度を申請することで対応できます。
 

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■障害の状態

対象となる障害は視力・聴力の障害、肢体の障害、内臓疾患(心臓疾患、がん、糖尿病など)、精神障害(統合失調症、うつ病など)となります。精神障害が対象になることはあまり知られていないのですが、実はこの精神障害による申請が最近かなり増えてきています。
 
障害年金を受給するには、請求手続きを行ったうえで審査を受けますが、審査に通る基準としてある程度症状が重いことが必要です。一つの目安としては、働けない状況(軽作業を除く)にあるかどうか、という点が挙げられます。働けなければ収入を得られないので、国が生活をサポートしてくれるわけです。
 

■障害年金の種類、等級、受給額

種類としてはサラリーマンや公務員が加入する厚生年金(障害厚生年金)とそれ以外の人(自営業者、主婦など)が加入する国民年金(障害基礎年金)があり、障害の度合いによって1級から3級に分けられます(国民年金は1、2級のみ)。 
 
1、2級の障害厚生年金受給者は障害基礎年金と両方を受給できます。
 

<備考>
・障害厚生年金は加入年数(ただし最低25年を保障)、報酬額により決定。上記の金額(1、2級)は平成29年度障害年金受給者の平均額※2。3級は最低保障額。
 
また障害等級については下記が一つの目安となります。
・1級:他人の援助がないと日常生活ができない
・2級:ある程度他人の援助がないと日常生活ができない
・3級:働くことができない
 
こうした級数は、日本年金機構が医師の診断書を元に判断します。障害の内容や認定基準については、日本年金機構のウェブサイト※3にて確認できます。
 

■障害年金はライフプランのリスク対策

いかがでしょうか? 年金の中でも老齢年金は一定の年齢に達した際、遺族年金は自治体に死亡届を提出した際に、日本年金機構や自治体から年金申請手続きの案内が届きます。そのため、対象者はその案内に従って手続きをすることができます。
 
しかし、障害年金についてはそうした案内が送られることはなく、障害者側から請求しなければ手続きを進めることはできません。そのため、本来障害年金を受給できるのに、「請求漏れ」になっている人も多くいます。
 
したがって、障害年金についての知識をつけておくことはライフプランにおけるリスク管理の一つとしてとても重要です。次回は障害年金の受給要件や手続き方法について紹介します。
 
出典
※1※2:厚生労働省「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より
※3:障害の内容や認定基準に関するサイト(リンク)
 
執筆者:蓑田透(みのだ とおる)
ライフメイツ社会保険労務士事務所代表