65歳までに「熟年離婚」を考えている40代主婦。10年間パート勤務で「自分の年金」は期待できないけど、貯金500万円と「夫の年金」を半分もらえるなら生活できる?
配信日: 2025.01.04
本記事では、年金分割の仕組みや注意点、そしておひとりさまの老後資金について詳しく解説します。将来に備えた計画を立てるための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金分割とは? 夫の年金を50%受け取れる仕組み
そもそも熟年離婚とは、「20年以上の婚姻生活の末に離婚すること」と言われています。長年連れ添った夫婦が離婚する際、特に女性にとって大きな関心事となるのが「年金分割」です。この制度は、夫婦が婚姻期間中に形成した厚生年金や共済年金の保険料を、離婚後に夫婦で分割する仕組みです。
具体的には、夫が厚生年金に加入している場合、婚姻期間中に積み立てられた年金記録の最大50%を妻(正確には年収の低い人)が受け取れる制度です。ただし、これを利用するには、離婚後2年以内に請求手続きを行う必要があります。制度が自動で適用されるわけではないため、手続きを忘れないようにしましょう。
加えて、分割の対象となるのは厚生年金のみで、さらに「婚姻期間中に形成された部分」だけであり、独身時代や婚姻前に夫が積み立てた分は含まれません。
また、注意すべき点として、年金分割をした場合、夫が受け取る年金の半分(例えば20万円の半分=10万円)がそのまま妻に支給されるわけではありません。妻の年金受給額に「婚姻期間中の夫の年金分割分」が合算される形になります。つまり、夫の年金が直接分配されるわけではなく、妻自身の年金に組み込まれるという仕組みとなっています。
以下がイメージになります。
夫の厚生年金受給額:月20万円
妻の年金受給額(自身の分):月5万円
年金分割で、夫の婚姻期間中の年金分の半分(仮に5万円)を受け取る権利が発生した場合、妻の年金受給額は、自身の年金5万円+分割分5万円=月10万円になります。
結果として、「夫の年金の半分が支給される」という誤解が生じやすいですが、実際にはこのように計算されるため、受け取れる金額が自身の想定金額より少ないと感じる場合があります。
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熟年離婚後のおひとりさまの老後資金はいくら必要?
熟年離婚を考える場合、老後の生活費をどのように工面するかは大切な課題です。2023年の家計調査報告によれば、65歳以上の高齢単身無職世帯の平均支出は、消費支出14万5430円と非消費支出1万2243円を合わせて月15万7673円、年間では約189万円です。
このデータを基に試算すると、65歳から現在の女性の平均寿命である87歳までの22年間で必要な資金は約4160万円となります。
仮に夫の厚生年金が月20万円だとして、年金分割でその50%である月10万円を受け取れる場合、年間120万円受け取れることになり、22年間で2640万円を賄えます。しかし、これでは生活費との差額である約1520万円が不足します。
ここに、貯蓄500万円がある場合、不足額は約1020万円に減ります。さらに、財産分与等で得られる金額を計算し、足りない場合は不足分を補うために貯蓄を増やしたり収入源を確保したりする準備が重要です。
ただし、医療費や介護費用といった突発的な出費を考慮すると、さらなる資金が必要になる可能性があります。早めに計画を立て、老後に向けた資金計画を練ることが、安心した生活を実現するカギとなります。
熟年離婚の現状
令和5年の厚生労働省の調査によると、熟年離婚は全離婚件数の約2割を占めています。一方で、離婚件数はピークの2002年以降減少傾向にあるものの、熟年離婚は年間4万件前後で高止まりしています。その背景には、長寿社会の影響や家族観・結婚観の変化、「モラハラ」の浸透、さらには子どもの成人を機に離婚を選ぶケースの増加が挙げられそうです。
また、実際に年金分割を利用したケースは令和4年度に約3万2900件あり、そのうち専業主婦を対象とする第3号分割は約1万1000件でした。
将来への備えを始めましょう
熟年離婚を考えた場合、500万円の貯蓄だけでは、年金分割があったとしても将来の生活に不安が残ることが分かりました。しかし、現状を把握できたことは大きな一歩です。これからできることはたくさんあります。
年金分割については、状況によって受け取れる金額や条件が異なるため、まずは自身の家庭の状況に置き換えて詳細を調べることから始めてみましょう。具体的な数字をもとに計画を立てることで、やるべきことが見えてくるはずです。
出典
総務省 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
厚生労働省 令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況 結果の概要
日本年金機構 離婚時の年金分割
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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