「住む場所」によって年金額が変わることなんてあるのでしょうか? 引っ越し予定の両親が「増えるらしいよ」と言っていますが本当でしょうか?

配信日: 2025.01.15

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「住む場所」によって年金額が変わることなんてあるのでしょうか? 引っ越し予定の両親が「増えるらしいよ」と言っていますが本当でしょうか?
「『住む場所』によって年金額が変わる」ということを聞いたことがあるでしょうか? これを聞いて「そんなことがあるの?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。これが本当であるならば、年金を受け取っている方が引っ越しをした場合、住む場所によって年金が増えたり減ったりするということになります。
 
本記事では、「『住む場所』によって年金が変わることはあるのか?」「『住む場所』によって国民健康保険料・介護保険料・住民税はどのように違うのか?」について解説します。なお、本記事では、年金を受け取る方の年齢が65歳以上であることを前提として解説しますので、あらかじめご了承ください。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

「住む場所」によって年金が変わることはあるのか?

「『住む場所』によって年金額が変わる」かどうかを検証するに当たり、まず確認しなければならないのは「年金額が変わる」とはどういうことなのかということです。
 
まず、年金支給額は全国一律なので、住む場所によって変わるということはありません。ということは、「年金額が変わる」とは「年金の手取り額が変わる」ということだと考えられます。
 
年金の手取り額は、以下の計算式によって算出します。
 
手取り額 = 年金支給額 -(社会保険料 + 税金)
 
この場合の「社会保険料」とは国民健康保険料と介護保険料のことであり、「税金」とは所得税と住民税のことです。
 
この計算式から考えられることは、住む場所によって国民健康保険料・介護保険料・所得税・住民税のいずれかが変わるため、年金の手取り額が変わるということです。
 
国民健康保険料・介護保険料・所得税・住民税のうち所得税については、国税であるため、住む場所によって変わるということはありません。一方、国民健康保険料・介護保険料・住民税については、市区町村ごとに決められるため、住む場所によって変わることがあります。
 
このことから、住む場所によって国民健康保険料・介護保険料・住民税が異なるため、年金の手取り額が変わるということは「ある」といえます。
 

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「住む場所」によって国民健康保険料・介護保険料・住民税はどのように違うのか?

以下では、「住む場所」によって国民健康保険料・介護保険料・住民税はどのように違うのかを、横浜市(神奈川県)と名古屋市(愛知県)を比較しながら確認していきます。
 
国民健康保険料(税)については、図表1のような違いがあります。
 
図表1

横浜市 名古屋市
所得割料率 医療分 8.83% 9.12%
支援分 2.65% 2.77%
介護分 3.08% 2.34%
均等割料率(額) 医療分 4万50円 4万9397円
支援分 1万2460円 1万5726円
介護分 1万5740円 1万5921円

※横浜市「令和6年度保険料の料率等について」、名古屋市「令和6年度分の国民健康保険料」を参考に筆者作成
 
介護保険料(第1号被保険者)については、図表2のような違いがあります。
 
図表2

横浜市 名古屋市
段階 第1段階~第19段階 第1段階~第18段階
介護保険料(年額) 1万5880円~27万8040円 2万851円~25万8550円

※横浜市「保険料について」、名古屋市 NAGOYAかいごネット「第1号被保険者の保険料」を参考に筆者作成
 
住民税については、図表3のような違いがあります。
 
図表3

横浜市 名古屋市
所得割(税率) 市民税 8% 7.7%
県民税 2.025% 2%
均等割(年額) 市民税 3900円 2800円
県民税 1300円 1500円
森林環境税(年額) 国税 1000円 1000円

※横浜市「個人の市民税・県民税について」、名古屋市「税額の計算方法」、名古屋市「所得割の税率」を参考に筆者作成
 
このように見ていくと、「住む場所」によって年金の手取り額が変わるということ、場所によっては手取り額が増えるということもあり得るということをご理解いただけたのではないでしょうか。
 

まとめ

本記事では、「『住む場所』によって年金が変わることはあるのか?」「『住む場所』によって国民健康保険料・介護保険料・住民税はどのように違うのか?」について解説しました。
 
本記事のタイトルである「『住む場所』によって年金額が変わるなんてあるのでしょうか? 引っ越し予定の両親が『増えるらしいよ』と言っていますが本当でしょうか?」というご質問に対する回答としては、「年金額が変わることはあります」「ご両親のおっしゃることは本当かもしれない(その可能性はある)」となります。
 
年金の手取り額が増えるからと理由で、引っ越しをする方はいらっしゃらないとは思われます。ただ、引っ越すことによって年金の手取り額が変わる可能性がある(増えることもあれば減ることもある)ことは、ご留意いただきたいと思います。
 

出典

厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について
厚生労働省 40歳になられた方へ 介護保険制度について
総務省 地方税の仕組み
横浜市 令和6年度保険料の料率等について
名古屋市 令和6年度分の国民健康保険料
横浜市 保険料について
名古屋市 NAGOYAかいごネット 第1号被保険者の保険料
横浜市 個人の市民税・県民税について
名古屋市 税額の計算方法
名古屋市 所得割の税率
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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