大学生のときに「学生納付特例制度」を2年間、利用していました。冬のボーナスが入り少し潤ったので「追納」したほうがよいのでしょうか?

配信日: 2025.01.20

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大学生のときに「学生納付特例制度」を2年間、利用していました。冬のボーナスが入り少し潤ったので「追納」したほうがよいのでしょうか?
20歳を迎えると国民年金保険料を納める必要がありますが、学生納付特例制度を利用すると在学中の保険料の納付が猶予されます。
 
学生納付特例の承認を受けた期間は、国民年金を受け取るのに必要な「10年間の保険料納付済期間」に含まれ、さらに、10年以内であれば保険料をさかのぼって追納することもできます。
 
年金額は減ってしまうので追納して年金額を増やすとよいといわれていますが、ほかの選択肢はないのでしょうか? 本記事で解説していきます。
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

老後の備えは若いうちから。限られた収入を有意義に使おう

少子高齢化の進行に伴い、これから老後を迎える方は以前よりも自助の割合を大きくする必要があります。
 
人生において収入は必ずしも増え続けるわけではなく、収入が若いときよりも減ってしまうこともありますし、会社員であれば健康状態に関わらず、基本的に定年退職等を境に収入が大きく減少してしまいます。
 
収入の増減のほかにも、物価変動や年金制度における所得代替率(給付開始時における年金額の現役世代の手取り収入に対する割合 ※厚生労働省より)の低下などさまざまな問題に対応することになるので、お金を有意義に使えるようマネーリテラシーを高めていくことが求められています。
 
限られたお金を効率よく将来の蓄えに回したいと考えた場合、「国民年金保険料の追納」のほか、「NISAの利用」と「iDeCoの利用」などが選択肢として挙げられます。
 

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国民年金保険料を追納するメリット・デメリットは?

国民年金保険料を追納するメリットは、将来受け取る国民年金の給付金額を増やせることです。国民年金の老齢給付は納付済期間に応じて増減し、40年間保険料を納付することで満額になります。
 
2024年度の国民年金の老齢給付額は満額で81万6000円ですが、もし2年分を追納しなかった場合は77万5200円と年額4万800円の減額となります。
 
一方、支払う国民年金保険料は2024年度で月額1万6980円、2年分で40万7520円なので、およそ10年で減額された合計額とほぼ同額になり、損益分岐に達します。
 
仮に2024年度の内容で23歳の方が追納し、65歳から90歳まで年金を受け取った場合、年金は約100万円増加します。
 
増加された額で亡くなるまで給付されるので長生きすればするほどメリットは増しますが、当初10年間はマイナスになる点や遺族基礎年金の対象でないと相続財産として遺族の生活保障に活用できない点がデメリットといえます。
 

NISA・iDeCoを利用するメリット・デメリットは?

次に、2年分の国民年金保険料約40万円を追納せず、投資に回した場合を考えてみます。この場合は、2024年から恒久化したNISAや所得税などの節税効果の大きいiDeCoを活用することで、税負担も抑えることがポイントです。
 
NISAは、非課税枠内での運用益・配当益が全て非課税となります。投資方法にもよりますが、仮に年利3%で42年間複利運用した場合、138万円まで増加します。追納に比べて大きな利益が得られる可能性があり、相続財産として遺族も活用できるといったメリットがあります。
 
一方、デメリットとして、運用結果が安定せず元本割れのリスクがあるほか、iDeCoの場合は60歳までお金を引き出すことができない点に注意が必要です。
 

まとめ

国民年金の追納はNISAやiDeCoに比べてリターンが小さく感じられるかもしれませんが、増額された額での給付が終身続くため、長生きすることによる老後の資金不足というリスクに備えることができます。
 
一方、NISAやiDeCoはリスクがある反面、高いリターンが期待できたり相続財産として遺族の生活費に活用できたりするなどのメリットがあります。
 
将来に備えて有意義にお金を使うには、それぞれのメリット・デメリットを把握して、自身のニーズに合っていると思われる公的制度を利用することが重要です。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
厚生労働省 いっしょに検証! 公的年金 ~年金の仕組みと将来~ 第09話 所得代替率と年金の実質価値
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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