2019年には国民年金受給額が「6万5008円」だったのに、2024年は「6万8000円」に!それでも老後は年金だけで生活できないの?
配信日: 2025.02.20

直近の年金受給額を比較すると、物価の動向などに合わせて年金額が引き上げられており、例えば国民年金受給額は2019年に月額6万5008円だったのに対し、2024年は6万8000円に増えています。
年金が増額されても老後の生活を年金のみで賄えないのはなぜでしょうか。直近6年分の年金額や、年金のみでは老後生活が厳しいと言われる理由について調べてみました。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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2019年から直近6年間の年金受給額を比較
日本年金機構は、年金額の例として「国民年金(満額受給時の老齢基礎年金)」と「厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)」を毎年公表しています。このデータを基に、2019年から2024年までの年金受給額を比較し、表1にまとめました。
表1
年度 | 国民年金(月額) | 厚生年金(月額) |
---|---|---|
2019 | 6万5008円 | 22万266円 |
2020 | 6万5141円 | 22万724円 |
2021 | 6万5075円 | 22万496円 |
2022 | 6万4816円 | 21万9593円 |
2023 | 6万6250円 | 22万4482円 |
2024 | 6万8000円 | 23万483円 |
※筆者作成
年金額は物価と賃金の変動に応じて、引き上げと引き下げを調整しています。直近6年間の推移では、年金額が引き下げられた年もありましたが、2019年と2024年を比較すると、国民年金は2992円、厚生年金は1万217円増えていることが分かります。
将来もらえる年金額は、年金保険の加入状況や現役時代の働き方などにより異なります。老後生活において年金は重要な収入源となるため、自身がいくらもらえるかを事前に確認しておきましょう。
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年金だけで老後生活は厳しい?
年金額が以前より増えていても、年金だけでは老後の生活費を賄えないかもしれません。
総務省統計局が公表している「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)および65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)における家計収支では、それぞれ3万7916円と3万768円の不足分が発生していることが分かります。
2019年の家計調査報告も調べてみたところ、高齢夫婦無職世帯では3万3269円、高齢単身無職世帯では2万7090円の不足分が生じています。毎月3万円前後の不足分が発生した場合、1年で36万円、10年で360万円ほどを年金以外の収入源または貯蓄で補わなければなりません。
老後生活で必要な生活費は各家庭で異なります。ゆとりのある生活を送りたい場合や、医療費・介護費で支出が増えた場合は、さらに高額な不足分が生じるでしょう。老後生活は年金だけでは賄いきれない可能性があることを踏まえて、定年後のライフプランを考えることが大切です。
2025年の年金額はどうなる? 家計収支の不足分はどうやって補う?
厚生労働省は2025年1月24日に、2025年度の年金額改定を公表しました。前年度から1.9%の引上げとなります。年金額の例は以下の通りです。
・国民年金(老齢基礎年金満額・1人分):月額6万9308円
・厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):月額23万2784円
国民年金は前年度より1308円、厚生年金は4412円増額されますが、物価や賃金の変動に合わせて調整されていることを考えると、家計収支の不足分を補うほどの増額とはいえません。
自身が受け取る年金額と生活費を比較して、不足分が生じると予想される場合は、以下のような対策を検討しましょう。
・貯蓄を取り崩す
・定年後も仕事を続ける
生活費の不足分を補てんするために、貯蓄を取り崩すこともひとつの手ですが、取り崩し続けているといずれ底を尽くことになるため、注意が必要です。
老後生活をシミュレーションして、必要な金額の目安を把握しておきましょう。すぐに使わない資金があれば、資産運用をして増やす方法もおすすめです。
定年後は退職するのではなく、可能であればできるだけ仕事を続けて収入を得ることも老後生活への備えになります。老後資金を減らさないだけでなく、健康維持にもつながるでしょう。
年金は増額されても家計収支は不足分が生じる傾向にある! 老後に備えて早めの対策が必要
2019年と2024年の年金額を比較したところ、国民年金は6万5008円から6万8000円、厚生年金は22万266円から23万483円に増えていることが分かりました。2025年の年金額改定も公表されており、国民年金は前年度から1308円増額されて6万9308円に、厚生年金は4412円の増額で23万2784円になる予定です。
年金額は物価や賃金の変動に合わせて調整されているため、増額されたとしても生活が楽になるとは言い切れません。一般的な老後の家計収支では、月に3万円前後の不足分が生じていることを踏まえて、老後資金の準備や定年後も仕事を続けるなど、早めの対策が必要です。
出典
日本年金機構 令和2年4月分からの年金額等について
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2019年(令和元年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4>高齢無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 高齢夫婦無職世帯及び高齢単身無職世帯の家計収支 -2019年-(19ページ)
厚生労働省 Press Release 令和7年度の年金額改定についてお知らせします
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー