60歳になる同級生の友人は「加給年金」をもらえるのに、私はもらえない。 同じ年齢なのに、なぜこのような差が生まれるのでしょうか?
配信日: 2025.02.22

まず、大切なことは、公的年金の「加給年金」がどのように支給される年金なのかを知ることから始めましょう。

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
加給年金とはどのような年金のこと?
加給年金とは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上の人が、65歳に到達時点もしくは定額部分支給開始年齢に到達した時点で、被保険者の生計を維持されている配偶者または子がいるときに加算される年金です。
その他にも65歳到達後もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後に被保険者期間が20年以上となった場合で、在職定時改定時、退職改定時もしくは70歳に到達した時点で生計を維持されている配偶者または子がいるときに加算されます。
つまり、会社員の夫の妻が配偶者より年下であったときに支給される年金です。一方で妻が年上の場合は、加給年金は支給されません。
なお、加給年金として支給される額は、配偶者と1人目、2人目の子は各23万4800円、3人目以降の子は各7万8300円です。また、配偶者の加給年金の額には、老齢厚生年金を受けている人の生年月日に応じて、3万4700円から17万3300円が特別加算される仕組みになっています。
今回の質問者さまの場合、妻の年齢が同じ60歳ではあるものの、被保険者である夫の勤続年数や年齢が支給対象ではなかったために「生じた差」であるといえるでしょう。
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加給年金のもらい方と受給期限
加給年金は厚生年金の被保険者期間や、被保険者の年齢などが決められていますが、たとえ支給要件に合致していても、無条件で支給される訳ではありません。加給年金額の加算を受けるためには、届け出が必要です。
この届け出についての詳細は、住まいの近くの年金事務所に問い合わせてください。
なお、配偶者が老齢厚生年金(※1)、退職共済年金(※2)を受け取る権利があるときや障害年金を受給する間は、配偶者加給年金額は支給停止されますので注意してください。
(※1)被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除く期間が40歳(女性は35歳)以降で15年以上のケースに限る
(※2)組合員期間が20年以上
その他にも加給年金の年齢制限に該当しなくなった場合や、離婚、死亡で生計を維持されなくなったときにも加算は終了します。
また、夫もしくは妻が受けている老齢厚生年金や、障害厚生年金に加算されている加給年金額の対象者になっている妻もしくは夫が65歳になったときには、それまで夫もしくは妻に支給されていた加給年金額は打ち切られます。
このとき妻もしくは夫が老齢基礎年金を受けられるときには、一定の基準により妻もしくは夫自身の老齢基礎年金の額に加算がされますが、これを振替加算といいます。
令和4年4月以降の加給年金の停止と経過措置について知っておこう
年金制度が改正されたことにより、令和4年4月以降は、配偶者の老齢厚生年金の被保険者期間が20年以上もしくは共済組合等の加入期間を除く期間が40歳(女性は35歳)以降で15年から19年以上の場合、退職共済年金もしくは組合員期間20年以上の方は注意が必要です。
これらに該当する方たちは、実際に加給年金を受け取っていなくても、受け取る権利があるケース(在職により支給停止となっているケース等)は、配偶者加給年金の支給は停止されてしまいます。
ただし、以下の2つの要件を満たしていれば、令和4年4月以降も加給年金の支給を継続できる経過措置が設けられています。
(1) 令和4年3月時点で、本人の老齢厚生年金もしくは障害厚生年金に加給年金が支給されている
(2) 令和4年3月時点で、加給年金額の対象者である配偶者が、厚生年金保険の被保険者期間が240月以上ある老齢厚生年金等の受給権を有しており、全額が支給停止されている
(出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」)
加給年金の支給はケースバイケースです。自分が対象となるのか分からないときには、住まいの近くの年金事務所に問い合わせ、できるだけ早く不安を解消することが大切です。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト