定年後は、70歳まで「月収9万円」で社会保険に加入しながらアルバイト。年金は「月13万円」だけど、どれだけ増える? 繰下げ受給の影響もあわせてシミュレーション
配信日: 2025.02.23

本記事では、70歳まで働き、そこから繰り下げていた年金の受給を開始する場合、受給額はどれだけ増えるのかを解説します。ぜひ参考にしてください。

執筆者:小林裕(こばやし ゆう)
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
計算の前提条件
本記事では以下の前提に基づいて計算を行います。
(1)65歳から70歳まで月収9万円のアルバイトを継続
(2)現在の年金受給額は月額13万円(年額156万円)
(3)社会保険に加入しながら働く
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65際から70歳まで社会保険に加入にすることによる年金増加額は月額「約2500円」
会社員や公務員など厚生年金保険加入者は、原則として65歳から老齢厚生年金を受給できます。老齢基礎年金を含めた年金額の計算は、一般的には次のようになります。
年金額=老齢基礎年金+老齢厚生年金(報酬比例部分+加給年金額)
※加給年金額とは、配偶者や子どもの年齢などについて、条件を満たすと加算される年金額です。本記事における計算においては考慮しません。
2024年度における老齢基礎年金の満額は年81万6000円です。この老齢基礎年金については、これまでに40年間分の保険料を納めている場合には、それ以上働いても増えることはありません。
そのため、65歳から70歳まで働く場合、老齢基礎年金は増えず、老齢厚生年金が増加することになります。老齢厚生年金の計算における、報酬比例部分については次のように計算されます。
報酬比例部分の増加分=平均標準報酬額×5.481(※)/1000×働いた月数
※本記事では計算を簡易化するため、2003年4月以降の被保険者期間の乗率を用います。
65歳から70歳まで5年間(60ヶ月)働いて、平均標準報酬額が9万円だった場合、計算式は次の通りとなります。
9万円×5.481/1000×60=約3万円(年)÷12=約2500円(月)
以上の計算結果より、約3万円(月額2500円)年金額が増加することが分かります。
年金の繰下げ受給による年金増加額は月額「約5万4600円」
前項では社会保険加入による年金額増加についてご紹介しましたが、ここからは65歳から年金を受け取らず、70歳から受け取ること(繰下げ受給)による年金増加額について触れます。
年金の繰下げ受給とは、老齢基礎年金や老齢厚生年金を65歳で受け取らずに、受け取り開始を先延ばしする制度です。繰り下げた月数に応じ、年金額が一生涯に渡って増加します。なお、増額率の計算式は下記の通りです。
増額率=0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数
そのため、受給開始を70歳まで繰り下げた場合の増額率は次の通り計算されます。
増額率=0.7%×60ヶ月
増額率=42%
計算結果から、年金「13万円」の人の場合は、
13万円×142%=「18万4600円」になります。
およそ「5万4600円」年金受給額が増えることが分かりました。
65歳になる前に遺族給付や障害給付を受け取る権利がある人は、繰下げ受給ができませんので、十分注意してください。
まとめ
本記事では、70歳まで働き、そこから繰り下げ受給開始の場合、受給額はどれだけ増えるのかを解説しました。年金月額「13万円」の人が65歳から70歳まで社会保険に加入にすることによる年金増加額は月額「約2500円」、繰下げ受給による年金増加額は月額「約5万4600円」になるようです。
年金の最適な受け取り方については、これまでの働き方や各種保険料の支払状況、ライフプランなどにより異なるため、年金事務所の窓口やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、事前にメリット・デメリットを把握するとよいですね。
出典
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート