定年後も再雇用で働く場合、厚生年金に「継続」で加入すると聞きました。加入しないで済む方法はないのでしょうか?

配信日: 2025.03.02 更新日: 2025.03.04

この記事は約 4 分で読めます。
定年後も再雇用で働く場合、厚生年金に「継続」で加入すると聞きました。加入しないで済む方法はないのでしょうか?
定年後も「生活費を賄うため」「健康維持のため」「社会とのつながりを保つため」などの理由で仕事を続ける人がいます。再雇用で働くにあたって、厚生年金に継続で加入すると聞いて「加入は任意では?」「加入せずに働くことはできないの?」と考える方もいるようです。
 
そこで今回は、定年後に仕事を続ける際の厚生年金について調べてみました。厚生年金に継続して加入するメリットや、年金をもらいながら働く際の注意点もご紹介しますので、定年後の働き方を考える際の参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

定年後の再雇用で厚生年金の加入は必須?

定年後も再雇用で働く際に、年金の加入は任意だと考える人もいるようです。確かに国民年金については、20歳から60歳までが加入対象で、40年間保険料を納めて満額の老齢基礎年金を受給できることになっています。
 
しかし厚生年金は、厚生年金保険に加入している企業に勤める70歳未満の従業員が対象で、定年後の再雇用で働く場合に継続して加入するケースがほとんどです。
 
日本年金機構によると、厚生年金の被保険者となるのは「臨時に使用される人や季節的業務に使用される人を除いて、就業規則や労働契約などに定められた一般社員の1週間の所定労働時間および1月の所定労働日数の4分の3以上ある従業員」です。また短時間労働者であっても、以下の要件をすべて満たす場合は、厚生年金の加入対象となります。

●週の所定労働時間が20時間以上
●所定内賃金が月額8万8000円以上
●学生ではない

上記に当てはまらない労働条件であれば、厚生年金に加入しないで済む場合もあります。また、個人事業主として働いたり、厚生年金に加入していない事業所で働いたりする場合は、厚生年金に加入することはありません。
 

厚生年金に継続して加入し続けるメリット

定年後も再雇用で会社員として働き続ける場合は、70歳まで厚生年金にも継続して加入し続けることになります。その間は保険料を納付しなければなりませんが、厚生年金の加入には以下のようなメリットがあります。

●将来受け取れる年金額が増える
●健康保険にも加入し続けられる

国民年金は保険料納付期間の上限が40年に決まっていて、満額に達するとそれ以上はもらえません。しかし厚生年金は、収入や加入期間に応じて将来もらえる年金額も多くなります。定年後も厚生年金に加入し続ければ、それだけ将来受け取れる年金額が増えることになり、老後生活の安定につながると期待できます。
 
厚生年金は健康保険とセットで加入することが原則です。厚生年金に加入しない場合は国民健康保険に入らなければなりませんが、国民健康保険には扶養の制度がないため、収入や家族構成によっては保険料が高額になる可能性があります。健康保険にも加入し続けることで、保険料の節約にもつながるでしょう。
 

年金をもらいながら働く際の注意点

定年後に再雇用で働きながら、年金ももらうことを検討している人もいるでしょう。その場合、一定以上の賃金を受け取ると年金が減額されるケースがある点に注意が必要です。これを在職老齢年金制度と呼びます。
 
厚生労働省年金局によると、在職老齢年金制度は「現役世代の負担が重くなる中で、報酬のある者は年金制度を支える側にまわってもらうという考え方に基づく仕組み」です。令和6年度からは賃金と老齢厚生年金の額が50万円を超えると、賃金上昇額の2分の1相当の厚生年金保険給付が支給停止になります。
 
この「50万円」は、現役男子被保険者の平均月収(ボーナスを含む)を基準として設定したもので、賃金変動に応じて毎年度改定されるとのことです。年金が減額される可能性も踏まえて、定年後の働き方を考えることは大切です。
 

定年後も再雇用で会社員として働く場合は70歳まで厚生年金に加入する

国民年金は原則として20歳から60歳までの40年間加入することになっていますが、厚生年金は会社員であれば70歳まで加入することになっています。短時間労働者であっても「週の所定労働時間が20時間以上」「所定内賃金が月額8万8000円以上」「学生ではない」のすべての要件を満たしていれば、厚生年金の加入義務が生じます。
 
労働時間を週20時間以内におさえるなど、厚生年金に加入しない働き方もありますが、厚生年金に加入するメリットも踏まえて慎重に検討するといいでしょう。
 
例えば将来もらえる年金額が増えたり、健康保険にも加入できて家族構成によっては保険料がおさえられたりします。年金をもらいながら働く場合は、年金が減額される在職老齢年金制度に注意が必要です。
 

出典

日本年金機構 年金Q&A(厚生年金の加入(被保険者))会社に勤めたときは、必ず厚生年金保険に加入するのですか。
厚生労働省年金局 在職老齢年金制度の概要(2ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集