会社員の夫が死亡し、遺族年金「月8万円」を受給中。生活が苦しい中「遺族年金生活者支援給付金」について聞いたけど、受給は可能? 63歳の専業主婦のケースで解説
配信日: 2025.03.11

年金を含めた所得が一定以下の人のために「年金生活者支援給付金」という制度がありますが、遺族年金の場合も該当するのでしょうか? 本記事では、遺族年金生活者支援給付金について、受給要件や受給額などを紹介します。

執筆者:橋本典子(はしもと のりこ)
特定社会保険労務士・FP1級技能士
遺族年金生活者支援給付金とは
年金生活者支援給付金は、所得が一定以下の年金受給者の生活支援を目的として、2019年に始まった制度です。老齢年金生活者支援給付金が有名ですが、障害年金や遺族年金にも同様の給付金があります。
「遺族年金生活者支援給付金」の額は月5310円(2024年度)、年額で6万3000円以上になりますから、決して少ない額ではないでしょう。どのような人が受給できるのでしょうか?
遺族年金生活者支援給付金を受給できるのは
遺族年金生活者支援給付金は、次の2つの要件にともに該当した場合に受給できます。
●前年の所得が「472万1000円+扶養親族の数×38万円」以下である
●遺族基礎年金を受けている
上記の「472万1000円」は課税所得の合計額です。遺族厚生年金は非課税のため、この額に算入しません。「38万円」は、70歳以上の同一生計配偶者や老人扶養親族は48万円、特定扶養親族や16~18歳の扶養親族は63万円として計算します。
遺族基礎年金を受けられる人とは
遺族年金生活者支援給付金の受給要件の1つである「遺族基礎年金」を受けられるのは、死亡した人に生計を維持されていた、次のいずれかに該当する人です。
●18歳になった年度の3月31日までの子
●20歳未満で障害等級2級以上の障害状態にある子
●上記いずれかの子がある配偶者
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「63歳で夫が死亡した妻」は
今回の「夫の死亡時に63歳だった専業主婦の妻」への給付について考えてみましょう。この人は専業主婦ですから、遺族年金生活者支援給付金の所得要件は満たしていると思われます。しかし、年齢から考えると、遺族基礎年金の要件になるような年齢の子がいる人は少数派かもしれません。
子のない妻が65歳までに受けられるもの
遺族基礎年金を受給できない妻は、遺族年金生活者支援給付金も受給できません。しかし、中高齢寡婦加算の対象となることがあります。
「中高齢寡婦加算」とは、夫の死亡時に40歳以上65歳未満だった「子のない妻」の遺族厚生年金に加算されるものです。要件を満たす「子」のない妻は、遺族基礎年金が受給できないため、その補完的な給付とされています。中高齢寡婦加算の額は年61万2000円(2024年度)、月額にして5万1000円の加算になります。
65歳になると
中高齢寡婦加算は65歳になると受給できなくなりますが、その代わり妻は自身の老齢基礎年金を受けられるようになります。
そのとき年金を含めた所得が一定以下であれば、今度は「老齢年金生活者支援給付金」の対象になります。
まとめ
遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金の受給権者で所得が一定以下の人に支給されるものです。遺族年金生活者支援給付金の対象にならなかった人でも、65歳以降、老齢年金生活者支援給付金が受給できることがあります。こうした制度をよく知り、賢く受給しましょう。
出典
日本年金機構 遺族年金生活者支援給付金の概要
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士